QC検定3級の公式・用語まとめ
QC検定3級で覚える計算式は、基本統計量・相関係数・工程能力指数・管理図・分布の5系統に整理できます。手法分野はこのページの式を使えるようにしておけば、あとは当てはめるだけです。実践分野は用語の意味を対比で覚えるのが近道です。
計算式(手法分野)
基本統計量
データのまとめ方の土台です。3級ではここから工程能力指数・管理図までつながるので、記号の意味まで覚えてください。
平均(算術平均)
x̄ = ( x₁ + x₂ + … + xₙ ) ÷ n
すべてのデータの合計をデータ数で割った値。データの中心を表します。x̄ は「エックスバー」と読みます。
範囲
R = 最大値 − 最小値
ばらつきの大きさを最も簡単に表した値。計算が楽なので、X̄-R管理図やサンプル数の少ない場面で使われます。
外れ値1つで大きく動くため、データ数が多いときは標準偏差のほうが安定します。
平方和
S = ( x₁ − x̄ )² + ( x₂ − x̄ )² + … + ( xₙ − x̄ )²
各データが平均からどれだけ離れているかを2乗して合計した値。分散・標準偏差はすべてここから計算します。
電卓では S = Σx² − (Σx)² ÷ n のほうが速く計算できます。結果は同じです。
不偏分散
V = S ÷ ( n − 1 )
平方和をデータ数マイナス1で割った値。標本から母集団のばらつきを推定するときに使います。
割るのは n ではなく n − 1 です。3級で狙われやすい箇所です。
標準偏差
s = √V
不偏分散の平方根。データと同じ単位になるので、ばらつきの大きさを直感的に比べられます。
変動係数
CV = s ÷ x̄ × 100(%)
標準偏差を平均で割った比率。単位や平均の大きさが違うデータどうしで、ばらつきの大小を比べるときに使います。
相関係数
2つの特性の間に直線的な関係があるかを、数値で表します。散布図とセットで問われます。
相関係数
r = Sxy ÷ √( Sxx × Syy )
Sxx は x の平方和、Syy は y の平方和、Sxy は x と y の積和です。r は必ず −1 以上 +1 以下になります。
積和
Sxy = Σ( x − x̄ )( y − ȳ )
x の偏差と y の偏差を掛けて合計した値。Sxy = Σxy − (Σx)(Σy) ÷ n でも計算できます。
工程能力指数
規格の幅に対して、工程のばらつきがどれくらい小さいかを表します。3級の計算問題で最も出やすいところです。
工程能力指数(両側規格)
Cp = ( SU − SL ) ÷ ( 6s )
SU は上限規格値、SL は下限規格値。規格の幅を、ばらつきの幅(標準偏差の6倍)で割った値です。
Cp は平均が規格の中心にあるかどうかを見ていません。かたよりは Cpk で見ます。
かたよりを考えた工程能力指数
Cpk = ( SU − x̄ ) ÷ ( 3s ) と ( x̄ − SL ) ÷ ( 3s ) のうち小さいほう
平均が規格の中心からずれている分を反映した指数。実務ではこちらを見ます。
平均がちょうど規格の中心にあるとき、Cpk は Cp と等しくなります。
片側規格の場合
上限だけ: ( SU − x̄ ) ÷ ( 3s ) / 下限だけ: ( x̄ − SL ) ÷ ( 3s )
規格が片側にしかないときは、その側だけで計算します。6s ではなく 3s で割る点に注意してください。
管理図(X̄-R管理図)
工程が安定しているかを時系列で見るための図です。管理限界線は「工程のばらつきから計算する線」で、規格値とは別物です。
X̄管理図
CL = X̄̄ / UCL = X̄̄ + A₂ R̄ / LCL = X̄̄ − A₂ R̄
X̄̄ は各群の平均のさらに平均、R̄ は各群の範囲の平均です。A₂ は群の大きさ n で決まる係数で、下の表から読みます。
R管理図
CL = R̄ / UCL = D₄ R̄ / LCL = D₃ R̄
範囲のばらつきを見る図。D₃・D₄ も群の大きさ n で決まる係数です。
n が6以下のときは D₃ の値がないため、R管理図の下側管理限界線は引きません。
管理図(計数値:p管理図・np管理図)
不適合品の「個数」や「割合」を管理する図です。サンプルの大きさが一定かどうかで使い分けます。
不適合品率
p = 不適合品数 ÷ 検査した個数
群ごとの不適合品の割合。p̄ はその全体平均で、(不適合品数の合計)÷(検査個数の合計)で求めます。
p管理図(サンプルの大きさが一定でなくてよい)
CL = p̄ / UCL・LCL = p̄ ± 3 √( p̄ ( 1 − p̄ ) ÷ n )
不適合品「率」を管理します。n が群ごとに違うと管理限界線も群ごとに変わり、階段状の線になります。
計算したLCLが負になるときは、下側管理限界線を引きません。
np管理図(サンプルの大きさが一定のときだけ)
CL = n p̄ / UCL・LCL = n p̄ ± 3 √( n p̄ ( 1 − p̄ ) )
不適合品の「個数」をそのまま管理します。n が一定でないと使えません。
正規分布・二項分布
3級では確率計算そのものより、分布の性質と標準化の考え方が問われます。
標準化(規準化)
u = ( x − μ ) ÷ σ
平均 μ、標準偏差 σ の正規分布を、平均0・標準偏差1の標準正規分布に変換します。変換後の u を正規分布表で引いて確率を求めます。
正規分布のばらつきの目安
±1σ に約68.3% / ±2σ に約95.4% / ±3σ に約99.7%
平均から標準偏差いくつ分の範囲に、全体の何%が入るかの目安です。管理図の3σ、工程能力指数の6s はここから来ています。
二項分布
P(x) = nCx × p^x × ( 1 − p )^( n − x )
不適合品率 p のロットから n 個取ったとき、不適合品がちょうど x 個出る確率。合格・不合格のように2つに分かれる場面で使います。
二項分布の平均と分散
平均 = n p / 分散 = n p ( 1 − p )
np管理図の中心線と管理限界線は、この平均と分散から導かれています。
X̄-R管理図の係数表
群の大きさ n から A₂・D₃・D₄ を読み取って、管理限界線の式に入れます。試験では表が与えられることが多いので、 値そのものよりどの係数をどの式に使うかを覚えてください。
| 群の大きさ n | A₂(X̄管理図) | D₃(R管理図 下側) | D₄(R管理図 上側) |
|---|---|---|---|
| 2 | 1.880 | — | 3.267 |
| 3 | 1.023 | — | 2.575 |
| 4 | 0.729 | — | 2.282 |
| 5 | 0.577 | — | 2.114 |
| 6 | 0.483 | — | 2.004 |
| 7 | 0.419 | 0.076 | 1.924 |
| 8 | 0.373 | 0.136 | 1.864 |
| 9 | 0.337 | 0.184 | 1.816 |
| 10 | 0.308 | 0.223 | 1.777 |
n が6以下では D₃ の値がありません。これは計算上マイナスになってしまうためで、 その場合R管理図の下側管理限界線は引きません。
工程能力指数の判定の目安
| 工程能力指数 | 判定 | とるべき対応 |
|---|---|---|
| Cp ≧ 1.33 | 工程能力は十分 | 現状の管理を続ける |
| 1.00 ≦ Cp < 1.33 | 工程能力はまずまず | 管理を厳しくし、1.33を目指す |
| 0.67 ≦ Cp < 1.00 | 工程能力は不足 | 不適合品が出る。改善が必要 |
| Cp < 0.67 | 工程能力は非常に不足 | 規格や工程そのものの見直しが必要 |
この区切りは法令や公式基準ではなく、実務で広く使われている慣用的な目安です。 要求される水準は製品や業界によって変わります。
用語(実践分野)
QC的ものの見方・考え方
実践分野で最も多く問われる考え方です。言葉の対比で覚えると混ざりません。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| マーケットイン | 顧客の求めるものを作るという考え方。 |
| プロダクトアウト | 作り手の都合や技術を優先して作る考え方。マーケットインと対になる。 |
| 後工程はお客様 | 次の工程を顧客とみなし、不適合品を流さないという考え方。 |
| 品質第一 | コストや納期より品質を優先することで、結果的に企業の利益につながるという考え方。 |
| 三現主義 | 現場・現物・現実の3つを自分で確かめること。 |
| 事実に基づく管理 | 勘や経験ではなく、データで判断すること。ファクトコントロール。 |
| 重点指向 | 影響の大きいものから優先して手をつけること。パレート図の考え方につながる。 |
| 源流管理 | 問題が起きてから直すのではなく、上流の設計・計画の段階で作り込むこと。 |
| 応急対策 | 原因が分からなくても、とりあえず影響を止める処置。 |
| 再発防止 | 原因を取り除いて、同じ問題が二度と起きないようにすること。 |
| 未然防止 | まだ起きていない問題を予測して、あらかじめ手を打つこと。 |
| ばらつき | 同じ条件で作っても値が揃わないこと。品質管理はばらつきを減らす活動といえる。 |
品質の概念
「品質」という言葉の切り分けです。似た言葉が多いので定義で区別してください。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ねらいの品質 | 設計で狙った品質。設計品質ともいう。 |
| できばえの品質 | 実際に作られたものの品質。製造品質・適合の品質ともいう。 |
| 当たり前品質 | 満たされて当然、欠けると不満になる品質要素。 |
| 魅力的品質 | 無くても不満にならないが、あると満足が高まる品質要素。 |
| 要求品質 | 顧客が求めている品質の内容。 |
| 品質要素 | 品質を構成する個々の性質。要求品質を分解したもの。 |
| 顧客満足(CS) | 製品・サービスに対して顧客が感じる満足の度合い。 |
管理の方法
改善を回す仕組みの言葉です。PDCAとSDCAの違いが頻出です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| PDCA | Plan(計画)→ Do(実施)→ Check(確認)→ Act(処置)。改善を回すサイクル。 |
| SDCA | Standardize(標準化)→ Do → Check → Act。決めたやり方を維持するサイクル。 |
| 維持 | 決めた状態を保つ活動。SDCAが対応する。 |
| 改善 | 現状をより良い状態に変える活動。PDCAが対応する。 |
| 問題 | あるべき姿と現状とのギャップ。すでに起きている悪さ。 |
| 課題 | ありたい姿と現状とのギャップ。これから目指すもの。 |
| QCストーリー | テーマ選定→現状把握→要因解析→対策→効果確認→標準化と定着、と進める問題解決の手順。 |
品質保証・検査
検査の種類と、保証の考え方です。「保証」と「補償」の書き分けにも注意してください。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 保証 | 品質を確かなものにすること。品質保証の「保証」。 |
| 補償 | 損害を金銭などで埋め合わせること。読みは同じだが意味が違う。 |
| 全数検査 | すべての製品を検査する方法。 |
| 抜取検査 | ロットから一部を取り出して検査し、ロット全体の合否を判定する方法。 |
| 無試験検査 | 品質情報や実績にもとづき、試験を省略して合格とする検査。 |
| 官能検査 | 人間の感覚(見た目・音・触感など)で判定する検査。 |
| 計量値 | 長さ・重さのように連続した値をとるデータ。 |
| 計数値 | 個数や件数のように数えられる値をとるデータ。 |
| 誤差 | 測定値から真の値を引いた値。 |
| かたより | 測定値の母平均から真の値を引いた値。系統的なずれ。 |
| ばらつき(測定) | 測定値が揃わない程度。精度に対応する。 |
| 校正 | 標準器と比べて、測定器の値のずれを求めること。 |
品質経営の要素
組織として品質を回す仕組みの言葉です。3級では名称と目的が問われます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 方針管理 | 経営方針を達成するため、方針を組織の上から下へ展開して回す活動。 |
| 日常管理 | 各部門が担当業務を計画どおり進めるための、日常的な維持管理活動。 |
| 標準化 | 仕事のやり方や規格を統一して決めること。社内標準と国内・国際標準がある。 |
| QCサークル | 同じ職場の人が自主的に集まり、品質管理の手法で改善を進める小集団活動。 |
| ISO 9001 | 品質マネジメントシステムの国際規格。 |
| 小集団活動 | 少人数のグループで改善に取り組む活動の総称。 |
QC七つ道具・新QC七つ道具
QC七つ道具は主に数値データ、新QC七つ道具は主に言語データを扱います。この対比で覚えると混ざりません。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| パレート図 | 項目を大きい順に並べた棒グラフと累積比率の折れ線。重点指向で対象を絞るために使う。 |
| 特性要因図 | 特性(結果)に対する要因を魚の骨の形に整理した図。 |
| チェックシート | データを取りやすく・集計しやすくした記録用紙。 |
| ヒストグラム | データの分布の形を見る柱状のグラフ。 |
| 散布図 | 2つの特性の関係を点で表した図。相関の有無を見る。 |
| グラフ | 折れ線・棒・円などでデータを視覚化したもの。 |
| 層別 | データを機械別・時間別などのグループに分けて、違いを見つけやすくすること。 |
| 親和図法 | ばらばらの言語データを、似たもの同士でまとめて整理する方法。 |
| 連関図法 | 原因と結果が絡み合った問題を、矢印で結んで整理する方法。 |
| 系統図法 | 目的を達成する手段を、木の枝のように展開していく方法。 |
| マトリックス図法 | 2つの要素を行と列に配置し、交点で関係を見る方法。 |
| アローダイアグラム法 | 作業の順序と日程を矢印で表し、計画を管理する方法。 |
| PDPC法 | 計画どおり進まない場合を想定して、次の手をあらかじめ決めておく方法。 |
| マトリックス・データ解析法 | 新QC七つ道具の中で唯一、数値データを扱う方法。 |
よくある質問
QC検定3級で覚える公式はいくつありますか?
このページでは20本にまとめています。ただし独立した式は多くありません。平方和から不偏分散・標準偏差が出て、その標準偏差を工程能力指数と管理図で使う、という流れになっているので、つながりで理解すると覚える量は見た目より少なくなります。
不偏分散はなぜ n ではなく n − 1 で割るのですか?
手元のデータ(標本)から、その背後にある母集団のばらつきを推定するためです。n で割ると母集団のばらつきより小さめに見積もってしまうため、n − 1 で割って補正します。3級では理由よりも「n − 1 で割る」ことを取り違えないほうが重要です。
Cp と Cpk は何が違いますか?
Cp は規格の幅とばらつきの大きさだけを比べた値で、平均が規格の中心からずれていても数値は変わりません。Cpk はそのかたよりを反映した値です。平均がちょうど規格の中心にあるとき、Cpk は Cp と等しくなります。実務で見るのは Cpk です。
管理限界線と規格値は同じものですか?
違います。規格値は「顧客や設計が決めた、満たすべき値」です。管理限界線は「その工程のばらつきの実績から計算した線」で、工程が安定しているかを判断するために引きます。管理図に規格値を書き込むのは誤りです。
工程能力指数はいくつあれば十分ですか?
一般に Cp が1.33以上なら十分とされています。ただしこれは法令や公式基準ではなく、実務で広く使われている慣用的な目安です。要求される水準は製品や業界によって変わります。
3級の練習問題を解く 出題範囲を確認する 3級の学習の進め方 3級の合格率
計算式は統計学・品質管理の一般的な定義にもとづいて当サイトが整理したものです。 出題範囲の区分は日本規格協会の品質管理検定レベル表に合わせています。過去問題の転載は行っていません。