QC検定3級/第2章 実践分野

★★☆ 出題の目安 2/3 言葉としての理解が中心。

品質保証と品質の概念

「ねらいの品質」と「できばえの品質」、「当たり前品質」と「魅力的品質」など、対になる言葉の区別が問われます。保証と補償の書き分けも頻出です。

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品質は2段階で決まる

製品の品質は、まず設計で決まり、次に製造で決まります。この2段階を分けて呼びます。

ねらいの品質 設計で狙った品質。設計品質ともいう。顧客の要求を設計に翻訳したもの。
できばえの品質 実際に作られたものの品質。製造品質・適合の品質ともいう。

どちらがずれても不満になる

設計どおりに正確に作れていても(できばえは良い)、その設計が顧客の求めるものとずれていれば、顧客は満足しません。

逆に設計が的確でも、製造がばらつけば不適合品が出ます。品質保証はこの両方を押さえる活動だ、という理解が土台になります。

当たり前品質と魅力的品質

品質要素を、顧客の満足の仕方で分ける見方です。

当たり前品質 満たされていて当然。欠けると強い不満になるが、満たしても満足は増えない。
魅力的品質 無くても不満にならないが、あると満足が高まる。
一元的品質 満たされるほど満足が増え、不足するほど不満が増える。

品質は「要求を満たす程度」で定義される

JIS Q 9000(品質マネジメントシステムの基本及び用語)は、品質を「対象に本来備わっている特性の集まりが、要求事項を満たす程度」と定義しています。良い悪いを決めるのは作り手ではなく、要求する側です。

この定義を分解すると、3級で問われる言葉が順に出てきます。顧客が求めていることを品質の言葉に直したものが要求品質、それを性能・耐久性・安全性・外観のような項目に分けたものが品質要素、各項目を測れる形にしたものが品質特性です。

品質特性には、直接測れないものがあります。接着の「はがれにくさ」を調べるには製品を壊すしかなく、全数には測れません。そこで代わりに接着剤の塗布量や硬化温度を測って管理します。このように真の特性の代わりに使う特性を代用特性といい、真の特性との関係がデータで確かめられていることが条件です。

要求品質 顧客の要求を品質の言葉で表したもの。「軽くて落としても壊れない」など。
品質要素 品質を構成する項目。性能・耐久性・安全性・操作性・外観など。
品質特性 品質要素を評価できる形にした特性。重さ(g)、落下試験の合格高さ(cm)など。
代用特性 真の特性を直接測れないとき、代わりに測る特性。塗布量・硬化温度など。真の特性との関係を確かめてから使う。

品質は製品だけのものではない

品質管理は製造業の製品から始まりましたが、対象は製品に限りません。レベル表には、サービスの品質・仕事の品質・社会的品質の3つが並んでいます。

サービスの品質は、形のない提供物の品質です。提供と消費が同時に起き、在庫も作り直しもできません。提供する人の対応で結果が変わるので、ばらつきの主な要因は人になります。

仕事の品質は、各部門の業務が生み出す結果の品質です。設計図の誤記、伝票の入力ミス、会議の遅れも品質の問題です。製造部門だけでなく間接部門にも品質がある、という見方が全部門参加の土台になります。

社会的品質は、使う人以外の第三者や社会に与える影響です。自動車の排ガス、工場の騒音、廃棄時の有害物質などで、買った人が満足していても社会的品質が低いことはあります。

顧客満足と顧客価値

JIS Q 9000 は顧客満足(CS)を「顧客の期待が満たされている程度に関する顧客の受け止め方」と定義しています。満たしたかどうかを決めるのは、作り手の測定値ではなく顧客の受け止め方です。期待より上なら満足、下なら不満になります。

顧客価値は、顧客が製品やサービスから受け取る価値のことで、得られる便益と、支払う価格や手間を比べて決まります。同じ製品でも、価格が下がれば顧客価値は上がり、使い方が難しければ下がります。

顧客満足を高める活動には、不満を減らす側と価値を増やす側があります。当たり前品質を満たして不満を減らし、魅力的品質で価値を増やす、という対応です。

保証と補償は違う

読みは同じですが意味が違い、書き分けが問われます。

保証は、品質を確かなものにすること。品質保証の「保証」はこちらです。

補償は、損害を金銭などで埋め合わせること。問題が起きた後の話です。

品質保証は問題が起きる前に確かなものにする活動なので、補償とは方向が逆だと考えると混ざりません。

結果の保証からプロセスの保証へ

できあがった製品を全部検査して不適合品を取り除けば、出荷する品質は保証できます。これが結果の保証です。

しかしこのやり方はコストがかかり、検査で見つからない不具合には無力です。そこで、良品しか作れない工程を作り込むプロセスによる保証へ重心を移す、というのが品質管理の考え方です。

「検査は品質を作らない」という言い方は、この文脈で使われます。

新製品開発では、設計の段階で問題を予測して潰す

品質保証の活動は、製品ができてから始まるのではありません。企画から設計・試作・量産準備までの各段階で、問題を予測して先に手を打ちます。3級では次の道具が言葉として出ます。

2級の解説「新製品開発の品質保証:QFD・DR・FMEA・FTA」で、それぞれの使い方を事例つきで説明しています。3級の範囲は名前と目的が分かっていれば足ります。

品質保証体系図 企画から設計・製造・販売・アフターサービスまでの流れを縦軸に、関係部門を横軸にとり、どの段階でどの部門が何をするかを示した図。会社全体の品質保証の仕組みが1枚で見える。
品質機能展開(QFD) 顧客の要求品質を品質特性に変換し、設計の目標値や工程の管理項目まで展開する方法。要求品質と品質特性の対応を表にしたものを品質表という。
デザインレビュー(DR) 設計の節目で、設計者以外の関係部門(製造・品質保証・購買・営業など)も加わって設計内容を審査すること。トラブルを量産前に予測して防ぐ。
FMEA(故障モード影響解析) 部品や工程ごとに「どのように壊れるか」を挙げ、その影響の大きさを評価して対策の優先順位を決める。部品から製品へ、下から上へ積み上げる。
FTA(故障の木解析) 望ましくない事象を頂点に置き、その原因を枝分かれさせて掘り下げる。製品から部品へ、上から下へたどる。
保証の網(QAネットワーク) 縦に起こりうる不具合、横に工程を並べ、各工程で「発生を防げるか」「流出を防げるか」を評価したマトリックス。保証の穴がどの工程にあるかが分かる。

品質保証は製品を捨てるときまで続く

製品の一生は、企画・設計・製造・販売・使用・保守・廃棄と続きます。この全体を製品ライフサイクルといい、品質保証はそのすべての段階を対象にします。使っている間の故障だけでなく、捨てるときに有害物質が出ないことまで含みます。

製品安全は、使う人に危害を与えないことです。正常な使い方だけでなく、予見できる誤った使い方(子どもが口に入れる、説明書を読まずに使う)まで考えて設計します。環境配慮は、製造時の排出物や使用時の消費電力、廃棄時のリサイクル性まで含めて、環境への負荷を減らすことです。

製造物責任(PL)は、製品の欠陥によって人の生命・身体・財産に損害が生じたとき、製造業者が賠償する責任です。日本では製造物責任法(PL法)が 1995 年 7 月に施行されました。被害者は製造業者の過失を証明する必要がなく、欠陥があったことと損害との因果関係を示せば賠償を求められます。これを無過失責任といいます。

設計上の欠陥 設計そのものが安全でない。強度不足、鋭い角など。
製造上の欠陥 設計どおりに作られていない。組立ミス、異物混入など。
指示・警告上の欠陥 使い方や危険について、取扱説明書や表示で十分に伝えていない。

苦情は「不満の表明」で、クレームはその一部

JIS Q 9000 では、苦情を「組織に対する不満足の表明であって、その対応又は解決が明示的又は暗示的に期待されているもの」と定義しています。修理や交換、返金といった補償の要求を伴う苦情を、日本ではクレームと呼び分けることが多いです。

市場でトラブルが起きたときの対応は、順番が決まっています。まず応急処置として、使用の中止や回収で被害の拡大を止めます。次に現品を回収して原因を調べ、再発防止の対策を打ちます。最後に顧客へ回答し、記録を残して同じ製品や工程に横展開します。

苦情の件数が少ないことと、不満が少ないことは別です。不満を持った顧客の多くは何も言わずに離れていきます。届いた苦情は、見えていない不満の一部が表に出たものとして扱います。

QC工程図は工程ごとの管理方法を一覧にした表

QC工程図(QC工程表)は、原材料の受入から出荷までの工程を流れの順に並べ、各工程で何を管理するか(管理項目)、どの水準で(管理水準)、誰が・いつ・どの方法で確認するかを一覧にした表です。工程での品質保証の設計図にあたります。

フローチャートは、作業や判断の流れを記号でつないだ図です。四角が処理、ひし形が判断というように記号を使い分け、分岐や戻りを矢印で示します。QC工程図の左端に置く工程の流れも、フローチャートの一種です。

作業標準書は、各工程の作業を誰がやっても同じ結果になるように、手順・条件・使う道具・注意点を書いたものです。QC工程図が工程全体を横に見る表なら、作業標準書は1つの工程を縦に掘った文書です。

検査の種類

検査の分類は用語として問われます。

全数検査 すべてを検査する。重要な特性や、不適合が重大な結果を招く場合。
抜取検査 ロットから一部を取り出して検査し、ロット全体の合否を判定する。
無試験検査 品質情報や実績にもとづき、試験を省略して合格とする。
官能検査 人間の感覚(見た目・音・触感など)で判定する。
破壊検査 検査すると製品が使えなくなる。全数検査はできないので抜取検査になる。

職場ではこう使う(事例)

電動工具のメーカーで、新型のバッテリーパックを開発したとします。設計部門は容量や充電時間の目標値(設計品質)を決め、工場はそれどおりに作れるか(製造品質)を試作で確かめます。

ここで顧客の声を確認すると、容量よりも「落としても壊れないこと」を重視する人が多いと分かりました。容量を上げても落下に弱ければ不満は減りません。設計品質の段階で、顧客が本当に求める品質特性を取り違えていたことになります。

出荷後に落下による故障が出たとき、修理や交換で損失を埋めるのが補償です。落下試験を設計段階に組み込んで、そもそも壊れない製品を作るのが保証です。保証は結果ではなくプロセスで行う。検査を増やしても、設計で決まった弱さは直りません。

試験ではこう問われる

設計品質と製造品質、保証と補償、当たり前品質と魅力的品質の3組が繰り返し出ます。どれも「似た言葉を対で覚えているか」を見る問題です。

検査の種類(受入・工程内・最終、全数・抜取)は、どの段階で誰が行うかとセットで問われます。3級では検査の目的が「良品と不良品を分けること」であって、品質を作り込むことではない、という位置づけまで理解しておきます。

よくある質問

ねらいの品質とできばえの品質、どちらが重要ですか?

どちらか一方では成立しません。設計が顧客の要求とずれていれば、いくら正確に作っても満足されません。逆に設計が的確でも製造がばらつけば不適合品が出ます。品質保証は両方を対象にします。

全数検査をすれば品質は保証できますか?

完全ではありません。検査でも見逃しは起きますし、破壊検査は全数にできません。コストもかかります。そのため、検査に頼るのではなく良品しか作れない工程にする(プロセスによる保証)方向が基本とされます。

当たり前品質の例は何ですか?

「スマートフォンが電話として通話できる」のように、できて当然とみなされる要素です。満たしても満足は増えませんが、欠けると強い不満になります。

読んだ内容が身についた?(確認問題3問)

選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。

  1. Q1

    「品質優先(品質第一)」とは、目先の納期やコストよりも、まず品質を確保することを重視する考え方である。

    答えと解説を見る

    正解:正しい(○)

    品質を最優先することで、結果として手直しやクレームが減り、長期的にはコストや納期にも良い影響を与えると考えられています。 短期的には検査や手直しの手間が増えるように見えますが、不良が減ればクレーム対応や作り直しがなくなります。品質第一が結果的にコストと納期も良くする、というのがQCの考え方です。

    問題番号 3-jissen-006(誤りに気づいたらお知らせください)

  2. Q2

    品質保証の説明として最も適切なものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 顧客が安心して使えるよう、必要な品質を確実に提供するための体系的な活動

    品質保証は、顧客が安心して使えるよう、企画・設計から販売・アフターまで含めて必要な品質を確保・実証する一連の活動です。 検査だけの活動ではない点が重要です。品質保証は企画・設計から製造・販売・アフターサービスまでを対象にし、顧客が安心して使える状態を作る一連の活動を指します。

    問題番号 3-qa-001(誤りに気づいたらお知らせください)

  3. Q3

    品質は最終検査で不良を取り除くことだけで十分に保証でき、工程での作り込みは不要である。

    答えと解説を見る

    正解:誤り(×)

    検査だけでは限界があり、各工程で品質を作り込むこと(プロセス保証)が重要です。「品質は工程で作り込む」が基本の考え方です。 検査は品質を確認する活動であって、作る活動ではありません。検査を強化しても工程が作り出す品質そのものは変わらないため、良品しか作れない工程にする方向が基本です。

    問題番号 3-qa-002(誤りに気づいたらお知らせください)

読んだあとにやること

読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。

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