QC検定3級/第2章 実践分野

★★☆ 出題の目安 2/3 言葉としての理解が中心。

検査と抜取検査の考え方

抜取検査は「一部を見て全体を判定する」方法なので、必ず判断を誤る可能性が残ります。この誤りに2種類あることが3級で問われます。

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音声は合成音声です。字幕をつけて見られます。内容はこのページの解説と同じで、続きから再生できます。

検査は何をする活動か

検査とは、品物やサービスの特性を測定し、規定と比べて適合しているかどうかを判定する活動です。

注意したいのは、検査は品質を確認する活動であって、品質を作る活動ではないという点です。検査を厳しくしても、工程が作り出す品質そのものは変わりません。

全数検査と抜取検査の使い分け

どちらを選ぶかは、検査の性質とコストで決まります。

全数検査が向く場合 不適合が重大な結果を招く。検査が簡単で費用が安い。ロットが小さい。
抜取検査が向く場合 破壊検査である。数量が多く全数では費用が見合わない。ある程度の不適合品混入が許される。
無試験検査が向く場合 過去の実績や品質情報から、十分に信頼できると判断できる。

抜取検査には必ず誤りが残る

一部だけを見て全体を判定する以上、判断を誤ることがあります。誤り方は2種類あり、それぞれ損をする側が違います。

生産者危険(α) 本当は良いロットなのに不合格と判定してしまう危険。損をするのは作った側。
消費者危険(β) 本当は悪いロットなのに合格と判定してしまう危険。損をするのは受け取る側。

両方を同時に小さくはできない

合格の基準を厳しくすれば、悪いロットを通す危険(消費者危険)は減りますが、良いロットを落とす危険(生産者危険)は増えます。基準を緩めれば逆になります。

つまりαとβはトレードオフの関係にあります。両方を同時に小さくするには、サンプルの数を増やすしかありません。ここが抜取検査の設計の勘所です。

OC曲線が表しているもの

OC曲線(検査特性曲線)は、横軸にロットの不適合品率、縦軸にそのロットが合格する確率をとったグラフです。

ロットの品質が悪くなるほど合格する確率は下がるので、右下がりの曲線になります。

サンプル数を増やすと曲線は急になり、良いロットと悪いロットをはっきり区別できるようになります。逆にサンプル数が少ないと曲線がなだらかになり、良し悪しの区別がつきにくくなります。

ロットの不適合品率 p合格する確率 L(p)0.000.050.100.150.200.250.00.20.40.60.81.0α = 1 − 0.983 = 0.017β = L(0.10) = 0.392n を増やすと曲線は急になる
n = 20、c = 1 の OC 曲線。左端で α、右側で β を読む

間接検査と識別:検査の言葉をあと2つ

受入検査で、供給者の検査成績書を確認して自社の試験を省略する方式を間接検査といいます。供給者の検査結果を信頼できることが条件で、無試験検査と似ていますが、成績書の確認という行為は残す点が違います。

検査が終わった品物には、合格か不合格か、検査済みか未検査かが一目で分かるように、タグ・マーカー・ラベル・置き場所で印をつけます。これを識別といい、不合格品が合格品に混ざって出荷される事故を防ぎます。選別(不適合品を取り除く作業)とは別の言葉です。

職場ではこう使う(事例)

ねじの受入検査で、1ロット 5,000 本すべてを調べることはできません。抜取検査で 50 本を測り、不適合が 1 本以下なら合格、という方式で運用していました。

あるとき、合格したロットの中から組立工程で不適合品が続けて見つかりました。抜取検査には、悪いロットを合格させてしまう確率(消費者危険)が必ず残ります。今回はそれが表に出た形です。

対応は2つ考えられます。サンプル数を増やして曲線を急にするか、供給者に工程での作り込みを求めて不適合品率そのものを下げるか。検査費用を増やし続けるより、供給者の工程能力を確認して改善してもらうほうが根本的です。抜取検査は品質を保証する手段ではなく、ロットを判定する手段だと割り切ることが、実務では大事になります。

試験ではこう問われる

全数検査と抜取検査のどちらを選ぶか(破壊検査なら抜取、安全部品なら全数)、生産者危険と消費者危険の定義、OC 曲線の縦軸と横軸が何かが定番です。

「抜取検査を厳しくすれば不適合品はゼロにできる」のような選択肢は誤りです。抜取である以上、見逃す確率はゼロになりません。

よくある質問

抜取検査で不適合品をゼロにできますか?

できません。一部しか見ないため、合格したロットの中に不適合品が混ざっている可能性は必ず残ります。抜取検査は「ロット全体としての品質水準を判定する」方法であって、不適合品を取り除く方法ではありません。

生産者危険と消費者危険はどちらが問題ですか?

どちらも避けたいものですが、性質が違います。生産者危険は良品を捨てる無駄、消費者危険は不良品が顧客に届くリスクです。一般に後者のほうが影響が大きいため、消費者危険を優先して抑える設計が取られることが多くなります。

サンプル数を増やせば必ず良いのですか?

判別の精度は上がりますが、検査の手間と費用も増えます。抜取検査を使う理由がコスト削減である以上、どこまで増やすかは費用とリスクのバランスで決めます。

読んだ内容が身についた?(確認問題3問)

選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。

  1. Q1

    全数検査の説明として正しいものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 対象となる品物をすべて検査する

    全数検査はすべての品物を検査します。手間はかかりますが見逃しを減らせます。破壊検査には適用できません。 ただし全数検査でも見逃しは起きますし、検査に手間と費用がかかります。壊して調べる破壊検査には使えません。「全数検査なら完璧」ではない点に注意してください。

    問題番号 3-insp-001(誤りに気づいたらお知らせください)

  2. Q2

    抜取検査の説明として正しいものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 ロットから一部を抜き取って調べ、ロット全体の合否を判定する

    抜取検査はロットから決められた数のサンプルを抜き取って調べ、その結果でロット全体の合否を判定します。 一部しか見ないため、合格したロットに不適合品が混ざっている可能性は必ず残ります。抜取検査はロット全体の品質水準を判定する方法であって、不適合品を取り除く方法ではありません。

    問題番号 3-insp-002(誤りに気づいたらお知らせください)

  3. Q3

    製品を壊して調べる破壊検査では、全数検査を行うのが原則である。

    答えと解説を見る

    正解:誤り(×)

    破壊検査は調べると製品が使えなくなるため全数検査はできず、抜取検査を用いるのが基本です。 破壊検査で全数を調べれば、出荷できる製品が1つも残りません。ほかに、数量が多く全数では費用が見合わない場合も抜取検査が選ばれます。

    問題番号 3-insp-003(誤りに気づいたらお知らせください)

読んだあとにやること

読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。