QC検定3級/第1章 手法分野
★★☆ 出題の目安 2/3 分布の性質と簡単な確率計算。
正規分布と標準化・二項分布
正規分布の問題は、u = ( x − μ ) ÷ σ で標準化して表を引く、という一本道です。管理図の3σ も工程能力指数の6s も、この分布の性質から来ています。
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正規分布はどんな形か
同じ条件で作った製品の寸法を大量に測ってヒストグラムにすると、多くの場合は平均のあたりが最も高く、左右対称に減っていく釣鐘型になります。これを正規分布といいます。
正規分布は、平均 μ(ミュー)と標準偏差 σ(シグマ)の2つだけで形が決まります。μ が位置を、σ が広がりを決めます。
覚えておくべき3つの割合
正規分布では、平均から標準偏差いくつ分の範囲に全体の何%が入るかが決まっています。
| 平均 ± 1σ | 全体の約68.3% |
|---|---|
| 平均 ± 2σ | 全体の約95.4% |
| 平均 ± 3σ | 全体の約99.7% |
ここが他の分野につながっている
±3σ にほぼ全体(99.7%)が入る、という性質は、3級のあちこちで顔を出します。
管理図の管理限界線が中心線から±3σの位置にあるのは、工程が正常なら点はまずこの中に収まるはずだ、という考え方だからです。外に出たら「偶然ではない何かが起きた」と判断します。
工程能力指数の分母が 6s なのも同じです。−3σ から +3σ までの幅が 6σ なので、これを「工程が実際に出している幅」とみなして規格の幅と比べています。
つまり正規分布を理解しておくと、管理図と工程能力指数の式が丸暗記ではなくなります。
標準化して表を引く
正規分布は μ と σ の組合せだけ無数にあるので、そのままでは確率の表を作れません。そこで、どんな正規分布でも平均0・標準偏差1の形に変換します。これが標準化(規準化)です。
u = ( x − μ ) ÷ σ
変換して得た u を正規分布表で引くと、その先にある確率が読めます。手順は「標準化する → 表を引く」の2段階だけです。
例題:規格を外れる割合を求める
製品の重さは平均100 g、標準偏差2 g の正規分布に従っています。上限規格は105 g です。規格を超える製品はどれくらい出ますか。
- ① 標準化する u = ( 105 − 100 ) ÷ 2 = 5 ÷ 2 = 2.5 「規格は平均から標準偏差2.5個分のところにある」という意味になります。
- ② 正規分布表で u = 2.5 の上側確率を読む 約0.0062
- ③ 割合に直す 0.0062 × 100 = 0.62 (%)
答え:約0.62%(1000個作ると6個ほどが上限を超える計算)
よくある間違い:表が「上側確率」なのか「平均からその点までの確率」なのかは表によって違います。どちらの表かを最初に確かめてください。
2点の間の確率と、確率から値を逆引きする手順
例題は上側だけの確率でしたが、試験には「a と b の間に入る確率」と「上側 5% になる値はいくつか」の2つの形も出ます。どちらも標準化と表の読み方は同じで、使い方が一手ずつ増えるだけです。
2点の間の確率は、全体 1 から両側のはみ出しを引きます。両端をそれぞれ標準化し、表から上側確率を2つ読んで、1 − (左のはみ出し) − (右のはみ出し) とします。左側は対称性を使って、u の絶対値で表を引きます。
逆引きは、表を逆向きに使います。問題で与えられた確率に対応する u を表から探し、x = μ + u × σ で元の単位に戻します。よく使う値は表を引かなくても出せるよう、覚えておくと速くなります。
| 上側 5% | u = 1.645 |
|---|---|
| 上側 2.5%(両側 5%) | u = 1.96 |
| 上側 1% | u = 2.326 |
| 上側 0.5%(両側 1%) | u = 2.576 |
例題:2点の間の確率と、上側 2.5% の値
製品の長さは平均 50.0 mm、標準偏差 2.0 mm の正規分布に従います。(1) 48.0 mm 以上 53.0 mm 以下に入る割合、(2) 上側 2.5% にあたる長さ a、を求めます。
- ① 両端を標準化する u₁ = ( 48.0 − 50.0 ) ÷ 2.0 = −1.0 u₂ = ( 53.0 − 50.0 ) ÷ 2.0 = 1.5
- ② 表から上側確率を読む u = 1.0 の上側確率 0.1587(左のはみ出し。対称なので u = −1.0 の下側確率と同じ) u = 1.5 の上側確率 0.0668(右のはみ出し)
- ③ 全体から引く 1 − 0.1587 − 0.0668 = 0.7745 → 約 77.5%
- ④ (2) 確率から u を逆引きする 上側確率 0.025 に対応する u = 1.96
- ⑤ 元の単位に戻す a = 50.0 + 1.96 × 2.0 = 50.0 + 3.92 = 53.92 (mm)
答え:(1) 約 77.5%(0.7745) (2) a = 53.92 mm
よくある間違い:2点の間の確率で、2つの上側確率を足してしまう(0.1587 + 0.0668 = 0.2255)のは「外側」の確率です。問われているのが内側か外側かを、図を描いて確かめてください。
二項分布はどんなときに使うか
正規分布は連続した値(計量値)の分布でした。これに対して、合格か不合格か、良品か不適合品かのように2つに分かれる結果を数えるときに使うのが二項分布です。
P(x) = nCx × p^x × ( 1 − p )^( n − x )
n は取り出した個数、p は不適合品率、x は不適合品の個数です。
例題:二項分布で確率を求める
不適合品率が10%(p = 0.1)のロットから5個取り出したとき、不適合品がちょうど1個である確率は。
- ① 組合せの数を出す ₅C₁ = 5
- ② 不適合品1個ぶんの確率 0.1¹ = 0.1
- ③ 良品4個ぶんの確率 0.9⁴ = 0.6561
- ④ 掛ける 5 × 0.1 × 0.6561 = 0.328
答え:約0.33(33%)
二項分布の平均と分散
二項分布では、平均と分散が式1本で出ます。
平均 = n p / 分散 = n p ( 1 − p )
np管理図の中心線が n p̄、管理限界線の幅が 3√( n p̄ ( 1 − p̄ ) ) になっているのは、この平均と分散をそのまま使っているためです。ここでも式のつながりが見えます。
よくある質問
正規分布表はどうやって使いますか?
標準化して求めた u の値を表の縦軸・横軸から探し、対応する確率を読みます。表には「u より外側の確率」を載せたものと「平均から u までの確率」を載せたものがあるので、どちらの表かを先に確認してください。試験では表が問題用紙に付いています。
u の値がマイナスになったらどうしますか?
正規分布は左右対称なので、絶対値をとって表を引き、方向だけ読み替えます。u = −2.5 の下側確率は、u = 2.5 の上側確率と同じ値になります。
正規分布と二項分布はどう使い分けますか?
扱っているデータが計量値(長さ・重さなど連続した値)なら正規分布、計数値(不適合品の個数など数えられる値)なら二項分布です。データの種類を見分けるところから始めてください。
読んだ内容が身についた?(確認問題3問)
選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。
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Q1
正規分布は、平均を中心とした左右対称の釣鐘型の分布である。
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正解:正しい(○)
正規分布は平均を中心に左右対称の釣鐘(ベル)型で、平均・中央値・最頻値が一致します。 左右対称なので、平均より大きい側と小さい側に同じだけデータが入ります。この性質があるため、平均から標準偏差いくつ分かで確率を計算できます。
問題番号 3-stat-001(誤りに気づいたらお知らせください)
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Q2
正規分布において、平均±1σ(標準偏差)の範囲に含まれるデータの割合はおよそどれくらいか。
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正解:2 約68%
正規分布では平均±1σに約68%、±2σに約95%、±3σに約99.7%が含まれます。 この3つの割合はセットで覚えてください。±3σにほぼ全体が入るという性質が、管理図の管理限界線(±3σ)と工程能力指数の分母6sの根拠になっています。
問題番号 3-stat-002(誤りに気づいたらお知らせください)
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Q3
正規分布において、平均±3σの範囲に含まれるデータの割合はおよそどれくらいか。
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正解:4 約99.7%
平均±3σにはおよそ99.7%が含まれます。3σを外れる確率は非常に小さく、管理図の管理限界の考え方にも使われます。 3σを外れるのは1000回に3回程度です。だから管理図で点が管理限界線の外に出たとき、「偶然ではない何かが起きた」と判断できます。
問題番号 3-stat-003(誤りに気づいたらお知らせください)
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
関連する解説
解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。