QC検定3級/手法分野

データのまとめ方と基本統計量

平均・範囲・平方和・不偏分散・標準偏差は、すべて同じデータから順につながって出てきます。この順番で手を動かせるようになると、工程能力指数も管理図も同じ流れで解けます。

なぜ平均だけでは足りないのか

2つの工程があって、どちらも製品の重さの平均が100gだったとします。片方は99〜101gに収まっていて、もう片方は90〜110gまで散らばっている。平均は同じでも、品質としてはまったく別物です。

品質管理が見ているのは、この「散らばり」=ばらつきのほうです。だから平均を出したら、必ずばらつきも数値にします。3級で出てくる統計量は、ほとんどがばらつきを表すためのものです。

計算の順番は決まっている

ばらつきを表す値はいくつもありますが、バラバラに覚える必要はありません。次の順番でつながっています。

平均 → 平方和 → 不偏分散 → 標準偏差。前の結果を次で使うので、途中で止まると先に進めません。逆に言えば、この順に手を動かせば必ず答えにたどり着きます。

平均 x̄ データの中心。合計 ÷ 個数。
範囲 R 最大値 − 最小値。いちばん簡単なばらつきの指標。
平方和 S 各データと平均の差を2乗して合計。ばらつきの「もと」。
不偏分散 V S ÷ (n − 1)。母集団のばらつきの推定値。
標準偏差 s √V。データと同じ単位に戻したばらつき。

例題:5個の製品の重さから標準偏差まで求める

製品の重さを5個測ったところ、102 g、98 g、101 g、99 g、100 g でした。

  1. ① 平均を出す x̄ = ( 102 + 98 + 101 + 99 + 100 ) ÷ 5 = 500 ÷ 5 = 100 (g)
  2. ② 範囲を出す R = 102 − 98 = 4 (g)
  3. ③ 平方和を出す S = 2² + (−2)² + 1² + (−1)² + 0² = 4 + 4 + 1 + 1 + 0 = 10 平均100との差をとってから2乗します。差がマイナスでも2乗すればプラスになるので、打ち消し合いません。
  4. ④ 不偏分散を出す V = 10 ÷ ( 5 − 1 ) = 10 ÷ 4 = 2.5 割るのは 5 ではなく 4(=n − 1)です。ここが最も間違えやすい箇所です。
  5. ⑤ 標準偏差を出す s = √2.5 ≒ 1.58 (g)
  6. ⑥ 変動係数を出す(必要なとき) CV = 1.58 ÷ 100 × 100 ≒ 1.6 (%) 平均の大きさが違うデータどうしでばらつきを比べたいときだけ使います。

答え:平均100 g、範囲4 g、平方和10、不偏分散2.5、標準偏差 約1.58 g

よくある間違い:不偏分散を n で割ってしまう間違いが多発します。10 ÷ 5 = 2 として標準偏差1.41と答えると不正解です。

電卓では平方和をこう出すと速い

平均との差を1つずつ計算するのは、データが増えると大変です。実務でも試験でも、次の式のほうが速く計算できます。

S = Σx² − (Σx)² ÷ n

先ほどの例で確かめてみます。Σx² は 102² + 98² + 101² + 99² + 100² = 10404 + 9604 + 10201 + 9801 + 10000 = 50010。(Σx)² ÷ n は 500² ÷ 5 = 250000 ÷ 5 = 50000。差は 50010 − 50000 = 10 で、先ほどと同じ値になりました。

データを一度入力するだけで済むので、桁数の多いデータではこちらが圧倒的に速くなります。

なぜ n − 1 で割るのか

手元にあるのは、母集団(作られたすべての製品)から取り出した一部=サンプルです。サンプルのばらつきは、母集団のばらつきより小さめに出る性質があります。

そのまま n で割ると、母集団のばらつきを実際より小さく見積もってしまいます。これを補正するために、少し小さい数(n − 1)で割って値を大きめに出します。これが不偏分散です。

3級では理由を問われることは多くありません。「n − 1 で割る」を取り違えないことのほうがはるかに重要です。

データの種類も押さえておく

計算に入る前に、扱っているデータがどちらなのかを見分けます。使える手法が変わります。

計量値 長さ・重さ・温度など、連続した値をとるデータ。X̄-R管理図はこちら。
計数値 不適合品の個数・キズの数など、数えられる値をとるデータ。p管理図・np管理図はこちら。
母集団 調べたい対象の全体。
サンプル(試料) 母集団から取り出した一部。ここから母集団を推定する。

よくある質問

不偏分散と分散は違うものですか?

分けて考えてください。平方和を n で割ったものを標本分散、n − 1 で割ったものを不偏分散といいます。QC検定で単に「分散」といったときは、母集団を推定する場面なので n − 1 で割る不偏分散を指すのが基本です。

範囲と標準偏差はどちらを使えばよいですか?

範囲は計算が簡単ですが、最大値と最小値だけで決まるため外れ値1つで大きく動きます。データ数が少ないとき(X̄-R管理図のように4〜5個の群)は範囲、データ数が多いときは標準偏差、と使い分けます。

変動係数は何のためにありますか?

平均の大きさが違うデータどうしで、ばらつきの大小を比べるためです。平均1000gで標準偏差10gと、平均10gで標準偏差5gでは、後者のほうが相対的にばらついています。標準偏差だけを見ると逆に見えてしまいます。

読んだあとにやること

読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。