QC検定3級/第2章 実践分野

★☆☆ 出題の目安 1/3 用語レベルの出題が中心。

品質経営の要素(方針管理・日常管理・標準化)

方針管理は上から下へ展開する縦の活動、日常管理は各部門が担当業務を維持する横の活動です。この対比で押さえると混ざりません。

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音声は合成音声です。字幕をつけて見られます。内容はこのページの解説と同じで、続きから再生できます。

方針管理と日常管理

組織を動かす仕組みには、方向の違う2つの活動があります。

方針管理は、経営方針を達成するために、方針を上位から下位へ展開していく活動です。今年これを達成する、という変化を起こすための縦の流れです。

日常管理は、各部門が担当する業務を計画どおりに進めるための維持活動です。決められたことを決められたとおりに、を保ち続ける横の流れです。

方針管理がPDCA(改善)、日常管理がSDCA(維持)に対応すると考えると整理しやすくなります。

経営方針重点課題・目標・方策製造部門の方針目標と方策に展開品質保証部門の方針目標と方策に展開営業部門の方針目標と方策に展開課・個人の目標実施項目・担当課・個人の目標実施項目・担当課・個人の目標実施項目・担当すり合わせ上から目標を下ろすだけでなく、下から方策を提案して上下で調整して決める
方針の展開。上位の方針が部門・課・個人の目標と方策に分かれていく

方針の展開でよくある失敗

上位の方針をそのまま下に降ろすだけでは、現場は何をすればよいか分かりません。各階層で自部門の言葉と数値に翻訳する必要があります。

また、方針は下ろすだけでなく、下位の実情を上位に返して調整します(すり合わせ)。一方通行にしないことが方針管理の要点です。

標準化は何のためにあるか

仕事のやり方や規格を統一して決めることを標準化といいます。目的は主に3つです。

ばらつきを減らす 人によってやり方が違えば結果もばらつく。統一すれば揃う。
改善を定着させる 良い方法を標準に落とし込めば、担当者が変わっても維持できる。
互換性を確保する 規格を合わせることで、部品や製品を組み合わせられる。

標準の種類

適用される範囲によって呼び名が分かれます。社内で定めるのが社内標準、国レベルが日本産業規格(JIS)などの国家規格、国際レベルがISO・IECなどの国際規格です。

標準は一度決めたら終わりではありません。実情に合わなくなれば改訂します。守られていない標準があるとき、現場が悪いのではなく標準のほうが実態に合っていない場合もあります。

小集団活動(QCサークル)

同じ職場の人が少人数で集まり、品質管理の手法を使って自主的に改善を進める活動をQCサークルといいます。

特徴は自主性です。上から命じられて行うのではなく、自分たちで課題を選んで取り組みます。目的は改善そのものだけでなく、参加する人の能力向上や職場の活性化も含まれます。

品質マネジメントシステムとISO 9001

品質に関して組織を管理する仕組み全体を、品質マネジメントシステム(QMS)といいます。その国際規格がISO 9001です。

押さえておきたいのは、ISO 9001は製品の品質そのものを保証する規格ではないという点です。品質を確保するための仕組みが備わっているかを見る規格であって、認証を取れば良い製品ができるわけではありません。

方針は「重点課題・目標・方策」の3点セット

方針管理でいう方針は、スローガンではありません。その期に優先して取り組む重点課題、達成する水準を数値と期限で示した目標、目標に届くための手段である方策、の3つをまとめたものです。「不良を減らそう」だけでは方針になりません。

方針管理は年度の単位で回ります。前年度の反省を受けて方針を策定し、各部門へ展開してすり合わせ、実施し、期中に進み具合を確認し、期末に達成度を評価して反省する。この反省が次年度の方針の入口になります。

期末の評価で見るのは、目標に届いたかだけではありません。届いたのに方策を実施していなければ偶然であり、届かなかったのに方策は全部実施したなら方策の選び方に問題があります。結果とプロセスの両方を振り返るのが反省です。

日常管理は業務分掌と管理項目で動く

日常管理の前提は、どの部門が何を担当するかが決まっていることです。これを業務分掌といい、部門ごとに責任と権限を文書で定めます。責任だけあって権限がなければ、異常を見つけても止められません。

管理項目は、担当業務が計画どおりに進んでいるかを判断するための尺度です。結果を見る項目を管理点、結果に影響する要因を見る項目を点検点と呼び分けます。不良率が管理点なら、炉の温度や刃物の交換時期が点検点です。

管理項目が管理水準を外れた状態が異常です。異常が出たら、まず応急処置で影響を止め、原因を調べて再発防止を打ち、処置の内容を記録します。異常を見つけたときに誰が何をするかも、あらかじめ決めておきます。

管理点 結果系の管理項目。不良率・納期遵守率・クレーム件数など。
点検点 要因系の管理項目。設備の温度・圧力、作業条件、点検の実施など。結果が悪くなる前に手を打てる。
管理項目一覧表 部門の管理項目を、管理水準・確認方法・頻度・担当者・異常時の処置とともに一覧にした表。

変化点は異常が出やすい瞬間

工程の異常は、何かが変わった直後に出やすいです。作業者の交替、材料ロットの切り替え、設備の修理後、作業方法の変更、長期休暇明け。こうした 4M の変化を変化点といい、変化点を事前に把握して、その直後の製品を重点的に確認する活動が変化点管理です。

変化点の管理で欠かせないのは、変える前に関係者へ知らせることです。材料を変えたことを製造が知らなければ、不良が出ても原因にたどり着けません。変化点を記録に残し、管理図や検査記録に印をつけておくと、異常の原因を調べる時間が大きく縮みます。

社内標準は、作って終わりではなく回すもの

社内標準は、会社の中で決めた規定・規格・作業標準書などの総称です。社内標準化の進め方は、制定・周知と教育・遵守・改訂の繰り返しです。

制定の段階では、関係者の合意を取り、文書にして、実行できる内容にします。守れない標準を作ると、現場は標準を無視することを覚えてしまいます。制定したら、関係者に教育して守れる状態にし、守られているかを確認します。実態に合わなくなった標準は改訂します。

社内標準が備えるべき条件として、文書化されていること、関係者が合意していること、守ることが義務づけられていること(強制力)、客観的で実行可能なこと、が挙げられます。社内標準は JIS のような国家規格や、ISO の国際規格と整合させて作ります。

品質教育は階層と職能で体系化する

人材育成は、品質管理の知識と手法を、必要な人に必要な水準で身につけさせる活動です。会社全体の教育を体系として組むとき、2つの軸で分けます。

1つは階層別です。新入社員には品質の基本と 5S、監督者には QC 七つ道具と小集団活動の指導、管理者には方針管理と QMS の運用、というように役割に応じて内容を変えます。もう1つは職能別・専門別で、設計者には FMEA や実験計画法、検査員には計測と抜取検査のように、業務に必要な手法を教えます。

教え方には、仕事の中で教える OJT と、集合研修や外部講習で教える Off-JT があります。QC 検定を受けること自体も、Off-JT の到達度を測る手段として使われています。

品質マネジメントの7原則

ISO 9001 の土台になる考え方として、JIS Q 9000 は品質マネジメントの原則を7つ挙げています。3級では名前と大意が問われます。

顧客重視 顧客の要求を満たし、期待を超えるよう努める。
リーダーシップ 経営者が目的と方向を示し、人々が参加できる状況を作る。
人々の積極的参加 すべての階層の人が力を発揮できるようにする。
プロセスアプローチ 活動を相互に関係するプロセスとして理解し、管理する。
改善 改善を続けることを組織の目標にする。
客観的事実に基づく意思決定 データと情報の分析に基づいて決める。
関係性管理 供給者など利害関係者との関係を管理し、互いの利益を図る。

職場ではこう使う(事例)

年度方針で「顧客クレームを前年比 30% 減らす」が掲げられたとします。製造部門はこれを受けて「工程内不良の半減」、品質保証部門は「クレーム分析の週次化」と、自部門の目標と方策に置き換えます。これが方針の展開です。

展開でよくあるのが、上の目標をそのまま下に配って終わる形です。現場は「30% 減らせ」と言われても手段がありません。方策まで下ろし、現場から「この方法でここまでならできる」と返してもらい、上下で調整して決める。このすり合わせがあって初めて方針が動きます。

一方で、方針とは別に、毎日の作業を標準どおりに行って現状を保つのが日常管理です。方針管理で上げた水準を日常管理で守る、という関係です。QC サークルは日常管理の中で現場が自主的に改善を進める活動で、成果だけでなく参加者の成長も目的に置きます。

試験ではこう問われる

方針管理と日常管理の役割の違い、方針展開のすり合わせ、標準化の目的(誰がやっても同じ結果、技術の蓄積、教育の基準)、ISO 9001 が仕組みの規格であって製品の規格ではないこと、が中心です。

「ISO 9001 の認証を取れば製品品質が保証される」は誤りの定番選択肢です。仕組みの有無と、その仕組みが実際に機能しているかは別だ、という理解を問われます。

よくある質問

方針管理と日常管理はどちらが重要ですか?

役割が違うため比較できません。日常管理で現状を安定させたうえで、方針管理で新しい水準へ引き上げる、という関係です。日常管理ができていない組織が方針管理だけを回しても、成果は定着しません。

ISO 9001の認証を取れば品質が良くなりますか?

そうとは限りません。ISO 9001は品質を確保するための仕組みが備わっているかを審査する規格で、製品の品質水準そのものを保証するものではありません。仕組みをどう運用するかは組織次第です。

QCサークル活動は業務命令で行うものですか?

自主的な活動として位置づけられています。ただし会社が場所や時間を用意するなど、活動しやすい環境を整えることは支援として行われます。

読んだ内容が身についた?(確認問題3問)

選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。

  1. Q1

    社内標準化(標準を定めて守ること)の効果として、最も適切でないものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:4 やり方を個人の判断だけに任せて自由にする

    標準化は決めたやり方を共有してばらつきを抑え、品質を安定させます。個人任せにすることは標準化の目的に反します。 標準化の目的は、やり方を揃えてばらつきを減らし、良い方法を組織に残すことです。個人の判断に任せると人によって結果が変わり、技術の伝承もできなくなります。

    問題番号 3-jissen-007(誤りに気づいたらお知らせください)

  2. Q2

    QCサークル活動の説明として最も適切なものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 第一線の職場で働く人々が自主的に品質管理・改善に取り組む小グループ活動

    QCサークルは同じ職場の人が自主的に小グループをつくり、継続的に改善を行う活動です。人材育成や職場の活性化にもつながります。 特徴は自主性です。上から命じられて行うのではなく、自分たちで課題を選んで取り組みます。改善そのものだけでなく、参加する人の能力向上や職場の活性化もねらいに含まれます。

    問題番号 3-jissen-008(誤りに気づいたらお知らせください)

  3. Q3

    経営トップの方針を、目標と方策に展開して全部門で達成をめざす管理を何というか。

    答えと解説を見る

    正解:1 方針管理

    方針管理は、トップの方針(重点課題)を各部門の目標・方策へ展開し、PDCAで達成をめざす活動です。 対になる日常管理は、各部門が担当業務を維持するための活動です。方針管理は変化を起こす縦の流れ(PDCA)、日常管理は現状を保つ横の流れ(SDCA)と整理すると混ざりません。

    問題番号 3-keiei-001(誤りに気づいたらお知らせください)

読んだあとにやること

読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。