QC検定2級/第1章 手法分野

★★☆ 出題の目安 2/3 計算と考え方の両方が問われる。

相関分析と単回帰分析の計算

相関係数も回帰直線も、材料は平方和 Sxx・Syy と積和 Sxy の3つだけです。この3つを出せば、相関係数は割り算1回、回帰直線の傾きも割り算1回で決まります。切片は直線が (x̄, ȳ) を通ることから出ます。

動画で見る(約6分)

音声は合成音声です。字幕をつけて見られます。内容はこのページの解説と同じで、続きから再生できます。

材料は3つ。平方和 Sxx・Syy と積和 Sxy

3級で平方和 S = Σ(x − x̄)² を計算しました。相関分析では、これを x と y の両方について求め、さらに x の偏差と y の偏差を掛けて足した積和 Sxyを加えます。

積和は、x が大きいときに y も大きければプラスに、逆なら マイナスに積み上がります。この符号と大きさが相関の正体です。

Sxx Σ(x − x̄)²。x のばらつき。
Syy Σ(y − ȳ)²。y のばらつき。
Sxy Σ(x − x̄)(y − ȳ)。x と y が一緒に動く度合い。マイナスにもなる。

相関係数は Sxy を √(Sxx × Syy) で割る

相関係数 r は −1 から +1 の範囲に収まります。+1 に近いほど右上がりの直線に、−1 に近いほど右下がりの直線に点が並びます。0 は直線的な関係がないことを表します。

加熱時間 x(分)硬さ y012345602468(x̄, ȳ) = (3, 5)y = 2.3 + 0.9xr = 0.9。点線は残差(この2乗和が最小になる直線)
例題の散布図と回帰直線。直線は必ず (x̄, ȳ) を通る

例題:加熱時間と硬さの相関係数

加熱時間 x(分)と製品の硬さ y を 5 組測りました。x = 1, 2, 3, 4, 5、y = 3, 5, 4, 6, 7 です。

  1. ① 平均を出す x̄ = 15 ÷ 5 = 3  ȳ = 25 ÷ 5 = 5
  2. ② 偏差を並べる x − x̄ : −2, −1, 0, 1, 2  y − ȳ : −2, 0, −1, 1, 2
  3. ③ 平方和と積和を出す Sxx = 4+1+0+1+4 = 10 Syy = 4+0+1+1+4 = 10 Sxy = 4+0+0+1+4 = 9 Sxy の各項は偏差どうしの積です。(−2)×(−2) = 4、(−1)×0 = 0、0×(−1) = 0、1×1 = 1、2×2 = 4。
  4. ④ 相関係数を出す r = Sxy ÷ √( Sxx × Syy ) = 9 ÷ √( 10 × 10 ) = 9 ÷ 10 = 0.9

答え:r = 0.9。強い正の相関

よくある間違い:分母を Sxx だけにすると 0.9 のまま同じ値になって気づけませんが、それは偶然です(この例題では Sxx = Syy のため)。分母は必ず √(Sxx × Syy) です。

回帰直線は、傾きを Sxy ÷ Sxx で出し、切片は平均から出す

相関があると分かったら、次は x から y を予測する式を作ります。y = a + bx の形で、各点と直線の縦のずれ(残差)の2乗の合計が最小になるように a と b を決めます。これが最小二乗法です。

計算は2段階です。傾き b は積和を x の平方和で割るだけ。切片 a は、直線が必ず (x̄, ȳ) を通ることを使って ȳ − b x̄ で出します。

例題:同じデータで回帰直線と寄与率を求める

Sxx = 10、Sxy = 9、x̄ = 3、ȳ = 5、r = 0.9 は求めてあります。

  1. ① 傾きを出す b = Sxy ÷ Sxx = 9 ÷ 10 = 0.9 相関係数と同じ 0.9 になったのは Sxx = Syy だからで、普通は一致しません。
  2. ② 切片を出す a = ȳ − b x̄ = 5 − 0.9 × 3 = 5 − 2.7 = 2.3
  3. ③ 回帰式を書く y = 2.3 + 0.9 x
  4. ④ 寄与率を出す R² = r² = 0.9² = 0.81 硬さのばらつきの 81% を加熱時間で説明できる、という意味です。
  5. ⑤ 予測に使う x = 6 のとき y = 2.3 + 0.9 × 6 = 7.7 データの範囲(x = 1〜5)の外側なので、あくまで外挿です。範囲外の予測は当てにならないことがあります。

答え:y = 2.3 + 0.9x、寄与率 0.81

よくある間違い:傾きの分母を Sxy にすると 10 ÷ 9 = 1.11 になります。「x で y を説明する」ので、分母は説明する側 x の平方和 Sxx です。

相関があっても、原因と結果とは限らない

相関係数が高くても、x が y の原因だとは言えません。第3の要因が両方を動かしている場合(例:気温が上がると売上も不良も増える)や、たまたま並んだだけの場合があります。

2級で問われるのは、数値の計算と同じくらい、この解釈の部分です。層別すると相関が消える、あるいは逆向きになる例も出題されます。

疑似相関 共通の原因があるために、関係のない2つの量に相関が出る。
層別 機械別・ロット別などに分けて散布図を描き直す。全体と層で相関の向きが変わることがある。
外れ値 1点で相関係数が大きく動く。数値を出す前に散布図で確認する。

計算の前に散布図を描く

相関係数は直線的な関係の強さしか測れません。曲線状に並んでいるデータでは r が 0 に近くても関係はあります。数値だけで判断せず、先に散布図を描いて形を見るのが手順です。

試験では散布図が与えられて「相関係数として最も近いものはどれか」を選ぶ問題も出ます。点の散らばりの幅と向きから、±0.9、±0.5、0 のどれに近いかを見分けられるようにしておきます。

よくある質問

相関係数の計算で、電卓で速く出す方法はありますか?

平方和と同じく、Sxy = Σxy − (Σx)(Σy) ÷ n で求められます。例題では Σxy = 3+10+12+24+35 = 84、(Σx)(Σy) ÷ n = 15 × 25 ÷ 5 = 75 で、84 − 75 = 9 と一致します。平均との差を1つずつ出すより速く、ミスも減ります。

寄与率と相関係数はどちらを答えればよいですか?

問題文の指示どおりです。関係の強さを聞かれたら相関係数 r、「y のばらつきの何割を説明できるか」を聞かれたら寄与率 r² です。r = 0.9 のとき寄与率は 0.81 で、r より必ず小さくなります。

回帰直線で x と y を入れ替えると同じ直線になりますか?

なりません。y を x で説明する直線と、x を y で説明する直線は別物です。傾きの分母が Sxx か Syy かで変わります。どちらを説明変数にするかは、何を予測したいかで決めます。

読んだ内容が身についた?(確認問題3問)

選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。

  1. Q1

    相関係数 r の取りうる値の範囲はどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 -1 ≦ r ≦ 1

    相関係数rは−1以上1以下の値をとります。+1に近いほど強い正の相関、−1に近いほど強い負の相関、0に近いほど相関が弱いことを表します。

    問題番号 2-kk-001(誤りに気づいたらお知らせください)

  2. Q2

    相関係数 r = -0.9 が示す関係として正しいものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 強い負の相関

    rが−1に近いので強い負の相関(一方が増えると他方が減る傾向が強い)です。相関の強さと因果関係は別問題です。

    問題番号 2-kk-002(誤りに気づいたらお知らせください)

  3. Q3

    単回帰分析で、各点と直線との残差の二乗和を最小にするように直線を当てはめる方法を何というか。

    答えと解説を見る

    正解:1 最小二乗法

    最小二乗法は、実測値と回帰直線との差(残差)の二乗和が最小になるように係数を求める方法です。

    問題番号 2-kk-003(誤りに気づいたらお知らせください)

読んだあとにやること

読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。

この分野の練習問題 全12問を解く 公式をまとめて確認する 統計数表を引く

関連する解説

解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。