QC検定2級/第1章 手法分野
★★☆ 出題の目安 2/3 分散分析表の読み書き。
一元配置の分散分析表の作り方
分散分析は、データ全体のばらつきを「要因によるもの」と「誤差によるもの」に分け、その比で要因の効果を判定します。計算は平方和 → 自由度 → 不偏分散 → F₀ の順で、表を埋めていけば答えが出ます。
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分散分析は「ばらつきの分解」から始まる
一元配置実験は、1つの因子の水準を変えて特性値に差が出るかを調べます。データを見ると、水準間の差と、同じ水準内の繰り返しの差の2種類のばらつきがあります。
総平方和 S_T = 級間平方和 S_A + 誤差平方和 S_E。この分解がすべての出発点です。要因の効果が大きければ S_A が S_E に比べて大きくなります。
例題で分散分析表を完成させる
手順は4段階です。平方和を出し、自由度を配り、それぞれを割って不偏分散にし、比をとって F₀ を求めます。
例題:温度3水準で収率に差があるか(一元配置・繰り返し4回)
反応温度を A₁・A₂・A₃ の3水準にして各4回ずつ実験し、収率を測りました。A₁:8, 9, 10, 9 A₂:11, 12, 12, 13 A₃:8, 10, 9, 9。有意水準 5% で温度の効果を判定します。
- ① 各水準の平均と全体平均を出す A₁ = 36÷4 = 9 A₂ = 48÷4 = 12 A₃ = 36÷4 = 9 全体 = 120÷12 = 10
- ② 級間平方和 S_A を出す S_A = 4×(9−10)² + 4×(12−10)² + 4×(9−10)² = 4 + 16 + 4 = 24 各水準の平均と全体平均の差を2乗し、繰り返し数 4 を掛けて足します。
- ③ 誤差平方和 S_E を出す S_E = (A₁内 2) + (A₂内 2) + (A₃内 2) = 6 A₁ は 8, 9, 10, 9 で平均 9 なので、偏差 −1, 0, 1, 0 の2乗和は 2。A₂・A₃ も同様に 2 です。
- ④ 総平方和で確かめる S_T = S_A + S_E = 24 + 6 = 30 直接計算しても Σ(x − 10)² = 30 になります。合わなければどこかで計算ミスです。
- ⑤ 自由度を配る φ_A = 3 − 1 = 2 φ_E = 3 × (4 − 1) = 9 φ_T = 12 − 1 = 11 平方和と同じく、φ_T = φ_A + φ_E が成り立ちます。
- ⑥ 不偏分散を出す V_A = 24 ÷ 2 = 12 V_E = 6 ÷ 9 ≒ 0.667
- ⑦ F₀ を出して判定する F₀ = V_A ÷ V_E = 12 ÷ 0.667 = 18.0 > F(2, 9; 0.05) = 4.26 F 表は分子の自由度 2、分母の自由度 9 で引きます。1% の値 8.02 も超えているので高度に有意です。
答え:F₀ = 18.0 で有意水準 5% で有意。温度によって収率に差がある
よくある間違い:F₀ を平方和の比 24 ÷ 6 = 4 で出す間違いが多発します。必ず自由度で割って不偏分散にしてから比をとります。この例では 4 では有意水準 5% の 4.26 を下回り、結論が逆になります。
分散分析表の形を覚えておく
試験では表の一部が空欄で出題されます。列の順番と、各列の関係(平方和 ÷ 自由度 = 不偏分散、V_A ÷ V_E = F₀)を覚えておけば、どこが空いていても埋められます。
| 要因 A の行 | S_A / φ_A = 水準数 − 1 / V_A = S_A ÷ φ_A / F₀ = V_A ÷ V_E |
|---|---|
| 誤差 E の行 | S_E / φ_E = 水準数 × (繰り返し − 1) / V_E = S_E ÷ φ_E |
| 合計 T の行 | S_T = S_A + S_E / φ_T = 総データ数 − 1 |
二元配置になると、自由度の配り方が変わる
因子が2つ(A と B)になると、平方和は S_A・S_B・S_E に分かれます。繰り返しがあれば、さらに交互作用 S_{A×B} を誤差から分離できます。
自由度は、A が「水準数 − 1」、B も「水準数 − 1」、交互作用は両者の積です。たとえば A が 2 水準、B が 3 水準なら交互作用の自由度は 1 × 2 = 2。残りが誤差の自由度になります。
繰り返しのない二元配置では交互作用と誤差が分けられず、(A の自由度) × (B の自由度) がそのまま誤差の自由度になります。3 水準 × 4 水準なら 2 × 3 = 6 です。
実験の3原則を押さえる
計算と同じくらい、実験の組み方も問われます。フィッシャーの3原則と呼ばれる考え方です。
| 反復(繰り返し) | 同じ条件で複数回実験し、誤差の大きさを見積もれるようにする。 |
|---|---|
| 無作為化 | 実験の順序をランダムにして、時間の経過などの未知の影響を誤差に取り込む。 |
| 局所管理 | 条件をそろえられるブロックに分けて実験し、ブロック間の差を誤差から取り除く。 |
よくある質問
F 表はどう引きますか?
分子の自由度(要因側 φ_A)を横、分母の自由度(誤差側 φ_E)を縦にとって値を読みます。例題なら φ_A = 2、φ_E = 9 で、5% なら 4.26、1% なら 8.02 です。分子と分母を逆に引くと違う値になるので、どちらが要因側かを確かめてから引きます。
有意になったあと、どの水準が良いかはどう決めますか?
分散分析は「水準間に差がある」ことしか教えてくれません。どの水準が良いかは、各水準の平均を比べて判断します。例題なら A₂ の平均 12 が最も高い収率です。必要なら最適水準での母平均の推定も行います。
プーリングとは何ですか?
有意でなかった要因の平方和と自由度を誤差に合算する操作です。誤差の自由度が増えて F 検定の精度が上がります。ただし技術的に意味のある要因まで機械的にプールしないよう、判断が必要です。
読んだ内容が身についた?(確認問題3問)
選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。
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Q1
1つの因子(要因)の水準を変えて実験し、水準間で特性値に差があるかを調べる実験計画を何というか。
答えと解説を見る
正解:1 一元配置実験
一元配置実験は1因子を取り上げ、その水準間で母平均に差があるかを分散分析で調べる最も基本的な実験計画です。
問題番号 2-doe-001(誤りに気づいたらお知らせください)
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Q2
分散分析で、要因による変動(級間変動)が誤差による変動(級内変動)に比べて大きいかを判定するのに用いる検定はどれか。
答えと解説を見る
正解:1 F検定
分散分析では、要因の平均平方と誤差の平均平方の比(分散比)がF分布に従うことを利用し、F検定で要因効果の有無を判定します。
問題番号 2-doe-002(誤りに気づいたらお知らせください)
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Q3
2つの因子を取り上げ、それぞれの主効果や交互作用を調べる実験を何というか。
答えと解説を見る
正解:1 二元配置実験
二元配置実験は2因子を取り上げ、各因子の主効果を評価できます。繰り返しのある二元配置では、両因子の組み合わせによる交互作用も評価できます(繰り返しがないと交互作用は誤差と分離できません)。
問題番号 2-doe-003(誤りに気づいたらお知らせください)
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
関連する解説
解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。