QC検定2級/第1章 手法分野

★★☆ 出題の目安 2/3 計算問題として出やすい。(3級の範囲として)

Cpk とかたより:平均がずれた工程の能力

3級の Cp は、平均が規格の中心にあることを前提にした指数でした。2級では平均のずれ(かたより)を織り込んだ Cpk と、片側規格の扱いが中心になります。Cp と Cpk の差がそのまま「かたよりで失っている能力」です。

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音声は合成音声です。字幕をつけて見られます。内容はこのページの解説と同じで、続きから再生できます。

Cp は「幅」、Cpk は「近いほうの余裕」

Cp は規格の幅を 6σ で割るので、平均がどこにあっても同じ値になります。工程の平均が規格の端に寄っていても Cp は変わらず、実際には不良が出ているのに「能力あり」に見えてしまいます。

そこで、平均から近いほうの規格までの距離を 3σ で割ったのが Cpk です。上限側と下限側で2つ計算し、小さいほうをとります。

L 9.7U 10.3規格の中心 10.0平均 10.19.79.89.910.010.110.210.3上限まで 0.2 = 4σ下限まで 0.4 = 8σ近い側(上限)で能力が決まる:Cpk = 0.2 ÷ (3×0.05) = 1.33。点線は中心に戻したときの分布
例題の工程。平均が上限側にずれているので、上限までの距離で Cpk が決まる
Cp (U − L) ÷ 6σ。規格幅に対する工程のばらつき。平均の位置は見ない。
Cpk min( (U − x̄) ÷ 3σ, (x̄ − L) ÷ 3σ )。平均のずれを織り込んだ能力。
かたより k |x̄ − 規格の中心| ÷ (規格幅の半分)。0 なら中心、1 なら規格の端。
関係式 Cpk = (1 − k) × Cp。k = 0 のとき Cpk = Cp。

例題:平均がずれた工程の Cp・Cpk・k

3つの指数を同じデータから出し、関係式で検算します。

例題:規格 10.0 ± 0.3、平均 10.1、標準偏差 0.05

ある寸法の規格は 10.0 ± 0.3(下限 9.7、上限 10.3)です。工程のデータから平均 10.1、標準偏差 0.05 が得られました。

  1. ① Cp を出す Cp = ( 10.3 − 9.7 ) ÷ ( 6 × 0.05 ) = 0.6 ÷ 0.3 = 2.00
  2. ② 上限側と下限側を別々に出す 上限側 = ( 10.3 − 10.1 ) ÷ ( 3 × 0.05 ) = 0.2 ÷ 0.15 = 1.33  下限側 = ( 10.1 − 9.7 ) ÷ 0.15 = 2.67
  3. ③ 小さいほうが Cpk Cpk = 1.33 平均が上限側に寄っているので、上限側の余裕で能力が決まります。
  4. ④ かたより k を出す k = | 10.1 − 10.0 | ÷ 0.3 = 0.333
  5. ⑤ 関係式で検算する ( 1 − 0.333 ) × 2.00 = 1.33 → ③と一致

答え:Cp = 2.00、Cpk = 1.33、k = 0.33

よくある間違い:Cp = 2.00 だけ見ると十分な能力です。ところが平均が 0.1 ずれただけで Cpk は 1.33 まで落ちています。この差 0.67 がかたよりで失っている分で、平均を中心に戻せば取り戻せます。

指数から不良率を読む

例題の上限側は、平均から上限まで 0.2 で、これは 4σ です。正規分布で 4σ を超える確率は約 0.003% なので、上限を超える不良はほぼ出ません。下限側は 8σ 離れているので、こちらはゼロとみなせます。

目安として、平均が中心にあるとき Cp = 1.00 なら規格外れは両側合わせて約 0.27%(3σ の外側)、Cp = 1.33 なら約 0.006%(4σ)です。Cpk が 1.00 を下回ると、近いほうの規格を 3σ 未満で越えるので、不良率は 0.135% を超えて増えていきます。

片側規格では、ある側だけで計算する

「以下であること」「以上であること」のように規格が片側しかないときは、その側の距離を 3σ で割った値が工程能力指数です。もう一方は存在しないので、Cp のような両側の式は使いません。

たとえば上限規格だけが 5.0 で、平均 4.4、標準偏差 0.15 なら、(5.0 − 4.4) ÷ (3 × 0.15) = 0.6 ÷ 0.45 = 1.33 です。両側の式に無理に当てはめようとして 6σ で割ると、値が半分になって間違えます。

Cp と Cpk が食い違ったら、直すのは平均から

Cp が高く Cpk が低い工程は、ばらつきは十分小さいのに平均がずれている状態です。この場合、やることは平均を規格の中心に合わせることで、多くは設備の調整や条件の見直しで済みます。

逆に Cp も Cpk も低い工程は、ばらつきそのものが大きいので、平均を動かしても解決しません。4M(人・機械・材料・方法)に立ち返ってばらつきの原因を潰す、改善の対象になります。

どちらの場合も、規格を広げる・管理限界を緩める・全数検査で選別する、は解決ではありません。工程能力指数は工程の実力を表す数字なので、工程を変えない限り数字は変わりません。

工程能力調査は「管理状態の確認」が先

指数を計算する前に、その工程が統計的管理状態にあることを管理図で確かめます。異常が混ざったデータで計算した σ は大きめに出て、指数の意味がなくなるからです。

2級の実践分野では、新製品の量産前に工程能力調査を行い、要求水準(たとえば Cpk 1.33 以上)を満たすことを確認してから量産に入る、という流れがプロセス保証の一部として出てきます。

よくある質問

Cpk が Cp より大きくなることはありますか?

ありません。Cpk = (1 − k) × Cp で k は 0 以上なので、Cpk は必ず Cp 以下です。等しくなるのは平均が規格の中心と一致する k = 0 のときだけです。計算で Cpk が Cp を上回ったら、どこかで上限と下限を取り違えています。

1.33 という目安はどこから来ていますか?

平均から規格まで 4σ 確保した状態が Cpk = 1.33 です。3σ(Cpk = 1.00)だとわずかな平均のずれで不良が出始めるので、余裕を 1σ 足した値が慣用的な目安になっています。業界や製品によって要求値は変わります。

標準偏差は不偏分散から出したものを使いますか?

通常はそうです。データから求めた標準偏差 s(n − 1 で割る)を σ の推定値として使います。管理図の R̄ ÷ d₂ から推定する方法もあり、問題文で与えられた値をそのまま使えば十分です。

読んだ内容が身についた?(確認問題3問)

選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。

  1. Q1

    工程能力指数Cpkについて、分布の平均が規格の中心に一致しているときのCpとの関係はどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 Cpk = Cp

    かたよりがない(平均が規格中心)ときは Cpk = Cp になります。平均が中心からずれるほど Cpk は Cp より小さくなります。

    問題番号 2-cp-001(誤りに気づいたらお知らせください)

  2. Q2

    規格の上限だけが定められ、下限が問題にならない特性の工程能力を評価するときに用いるのはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 片側規格の工程能力指数

    上限または下限の一方だけが問題になる場合は、片側規格の工程能力指数(上側・下側のCpk)で評価します。

    問題番号 2-cp-002(誤りに気づいたらお知らせください)

  3. Q3

    規格が下限90・上限110、工程の平均が104、標準偏差が2.5であるとき、Cpk の値はいくらか。

    答えと解説を見る

    正解:1 0.80

    上限側は (110 − 104) ÷ (3 × 2.5) = 0.80、下限側は (104 − 90) ÷ (3 × 2.5) ≒ 1.87 で、小さいほうを採るので Cpk = 0.80 です。このとき Cp は (110 − 90) ÷ (6 × 2.5) ≒ 1.33 のままで、かたよりがあると Cpk だけが下がることが分かります。

    問題番号 2-cp-003(誤りに気づいたらお知らせください)

読んだあとにやること

読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。

この分野の練習問題 全11問を解く 公式をまとめて確認する 統計数表を引く

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。