QC検定2級/第2章 実践分野
★★☆ 出題の目安 2/3 3級より一段深い理解が必要。
方針管理・機能別管理・日常管理の違い
3つの管理は「何を守り、何を変えるか」で分かれます。日常管理は標準どおりに維持する活動、方針管理は重点課題を達成するために変える活動、機能別管理は品質やコストなどの目的を部門横断で束ねる仕組みです。この3つの関係が、2級の実践分野で最もよく問われます。
動画で見る(約6分)
音声は合成音声です。字幕をつけて見られます。内容はこのページの解説と同じで、続きから再生できます。
3つの管理は役割が違う
同じ「管理」という言葉がついていますが、目的が違います。日常管理は維持、方針管理は改善、機能別管理は横断。この3語で分けておくと、選択肢を読み違えません。
| 日常管理 | 各部門が担当業務を標準どおりに行い、現状の水準を保つ活動。SDCA を回す。 |
|---|---|
| 方針管理 | 経営方針から展開した重点課題を、期限を決めて達成する活動。PDCA を回す。 |
| 機能別管理 | 品質・コスト・納期・安全などの目的ごとに、部門をまたいで全社的に管理する仕組み。 |
方針管理は「展開」と「すり合わせ」で下ろす
方針管理は、経営トップの方針を部門・課・個人の目標と方策に展開していきます。ただの上意下達ではなく、上位の目標を受けた下位が「自分たちはこの方策でここまでやる」と提案し、上位と調整して決めます。この往復をすり合わせ(キャッチボール)と呼びます。
展開するときは、目標(何をどこまで)と方策(どうやって)をセットにします。目標だけ下ろすと現場は手段を選べず、方策だけ下ろすと達成度が測れません。
| 方針 | 重点課題・目標・方策をまとめたもの。 |
|---|---|
| 重点課題 | その期に優先して取り組む問題。数を絞る。 |
| 目標 | 達成すべき水準。数値と期限で示す。 |
| 方策 | 目標を達成するための手段。実施項目と担当を決める。 |
日常管理は管理項目と管理水準で回す
日常管理の中心は、各業務の結果を測る管理項目と、その許容範囲である管理水準です。管理項目には、結果を見る項目(不適合品率など)と、その原因側を見る項目(温度・圧力など)があり、後者を点検項目と呼ぶこともあります。
管理水準を外れたら異常です。異常が起きたときの手順は、応急処置で影響を止める → 原因を調べる → 再発防止の処置をとる → 必要なら標準を改訂する、の順です。応急処置だけで終わらせて次の方針管理に回す、という考え方は誤りです。
機能別管理は部門の壁を越えるための仕組み
品質は製造部門だけでは作れず、設計・購買・製造・検査がつながって初めて確保できます。コストや納期も同じです。部門ごとの日常管理だけでは、部門の間に落ちる問題を拾えません。
機能別管理では、品質保証・原価管理・納期管理といった機能ごとに全社の責任者と委員会を置き、方針の展開・進捗・改善を部門横断で見ます。クロスファンクショナルマネジメントとも呼ばれます。
期末レビューは、達成度より「やり方」を振り返る
方針管理の期末には、目標の達成度を確認します。ただし本当に見るべきは、未達だったときに「目標の置き方は妥当だったか」「方策は効いたか」「展開の仕方に無理はなかったか」です。ここを振り返って次期の方針に反映することで、方針管理が回り続けます。
経営トップが現場に出向いて方針の実施状況を確認し、指導する活動をトップ診断(社長診断)と呼びます。方針管理の仕組みそのものが機能しているかを、トップ自らが確かめる場です。
職場ではこう使う(事例)
年度方針が「重点顧客への納期遵守率 99% 以上」だったとします。営業部門は受注時の納期回答の精度を、製造部門は工程内の滞留削減を、購買部門は主要部品の調達リードタイム短縮を、それぞれ自部門の方策として提案します。上位はこれらを束ねて、全体で 99% に届くかを確かめ、足りなければ方策を追加してもらいます。
期の途中では、月ごとに納期遵守率を管理項目として追い、目標との差が開いた部門から順に手を打ちます。期末には達成度だけでなく「方策は効いたか」「展開の仕方に無理はなかったか」を振り返り、次期の方針に反映します。
ここで日常管理との境目がはっきりします。納期遵守率を上げる活動は方針管理、上がった水準を翌年も保つ活動は日常管理です。納期という同じ指標でも、変える活動か保つ活動かで管理の仕組みが変わります。
よくある質問
日常管理と方針管理は、どちらが先ですか?
日常管理が土台です。標準どおりに業務が回っていない状態で方針管理を始めても、改善の効果が維持できません。まず日常管理で現状を安定させ、そのうえで方針管理で水準を引き上げる、という順序で考えます。
管理項目と点検項目の違いは何ですか?
管理項目は結果を見る指標(不適合品率、納期遵守率など)、点検項目は結果を左右する要因を見る指標(温度、圧力、作業時間など)です。結果が出てからでは遅いので、点検項目を管理水準内に保つことで結果を先回りして管理します。
すり合わせをしないとどうなりますか?
上から目標だけが降りてくると、現場が達成手段を持たないまま数字だけを負うことになります。逆に下からの提案だけだと全社の方針とずれます。上下で調整して目標と方策を決めることで、実行可能で全社と整合した方針になります。
読んだ内容が身についた?(確認問題3問)
選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。
-
Q1
経営方針を上位から下位へ展開し、上位者と下位者がすり合わせながら目標・方策を決めていく進め方を何というか。
答えと解説を見る
正解:1 方針の展開(キャッチボール/すり合わせ)
方針管理では、方針を階層的に展開する際に上位・下位ですり合わせ(キャッチボール)を行い、実行可能で整合した目標・方策にします。
問題番号 2-hp-001(誤りに気づいたらお知らせください)
-
Q2
品質・コスト・量・納期などの目的を、部門をまたいで全社的に管理する仕組みを何というか。
答えと解説を見る
正解:1 機能別管理
機能別管理は、品質保証やコスト管理などの目的別に、部門横断(クロスファンクショナル)で全社的に管理する仕組みです。
問題番号 2-hp-002(誤りに気づいたらお知らせください)
-
Q3
日常管理で、管理項目が基準や管理限界を外れる「異常」が起きたときの対応として最も適切なものはどれか。
答えと解説を見る
正解:1 応急処置で影響を抑えつつ、原因を調べて再発防止する
異常時は、まず応急処置で影響を抑え、原因を究明して再発防止(標準や工程の是正)につなげます。異常の見える化と処置のルール化が重要です。
問題番号 2-hp-003(誤りに気づいたらお知らせください)
読んだあとにやること
読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。
関連する解説
解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。