QC検定3級/第1章 手法分野

★★★ 出題の目安 3/3 3級手法分野の中核。配点が大きい。

QC七つ道具の使い分け

7つの道具は、それぞれ答えられる問いが違います。「どれを使うか」ではなく「何を知りたいか」から選ぶと迷いません。3級の手法分野で最も配点が大きい範囲です。

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道具は「知りたいこと」から選ぶ

QC七つ道具を名前だけで覚えると、問題文で「この場面ではどれを使うか」と問われたときに手が止まります。それぞれが答えられる問いをセットで覚えてください。

パレート図 「どれから手をつけるべきか」— 影響の大きい項目を見つける。
特性要因図 「原因として何が考えられるか」— 要因を洗い出して整理する。
チェックシート 「どう記録すれば集計しやすいか」— データを取る段階の道具。
ヒストグラム 「ばらつきはどんな形か」— 分布の形と規格との関係を見る。
散布図 「2つの間に関係があるか」— 対になったデータの関連を見る。
グラフ 「変化や大小をどう見せるか」— 折れ線・棒・円などで視覚化する。
層別 「違いはどこから来ているか」— 機械別・時間別などに分けて比べる。

層別は道具というより考え方

層別だけは他の6つと性質が違います。単独で図を描くのではなく、他の道具と組み合わせて使うものだからです。

例えばヒストグラムが2つの山に分かれていたとき、機械Aと機械Bで層別して描き直すと、山が1つずつに分かれて原因が見えます。散布図でも、層別すると隠れていた相関が現れることがあります。

「データを分けて見る」という発想そのものが層別です。

パレート図:重点指向を数字にする

項目を件数の多い順に並べた棒グラフと、累積比率の折れ線を組み合わせた図です。「上位のいくつかで全体の大部分を占める」ことを目で見て確かめられます。

改善は全部に手をつけるのではなく、影響の大きいものから取りかかる(重点指向)のが原則です。パレート図はその判断材料になります。

件数の割合(%)0255075100キズ45%寸法不良30%75%塗装ムラ15%90%欠け7%97%その他3%100%累積上位2項目で 75%
パレート図の例。件数の多い順に並べ、累積の折れ線で重点項目を決める

例題:累積比率を計算する

ある工程の不適合を分類したところ、キズ45件、寸法外れ30件、汚れ15件、欠け7件、その他3件でした。

  1. ① 合計を出す 45 + 30 + 15 + 7 + 3 = 100 (件)
  2. ② 多い順に並べる キズ → 寸法外れ → 汚れ → 欠け → その他 「その他」は件数が多くても必ず最後に置きます。
  3. ③ 各項目の比率を出す キズ 45%、寸法外れ 30%、汚れ 15%、欠け 7%、その他 3%
  4. ④ 累積していく 45% → 75% → 90% → 97% → 100%

答え:上位2項目(キズと寸法外れ)だけで全体の75%を占める

よくある間違い:「その他」は件数の大小にかかわらず一番右に置きます。多い順に並べる原則から外れる、唯一の例外です。

ヒストグラムは形を読む

データをいくつかの区間に分け、区間ごとの度数を柱で表した図です。3級では計算より形から何を読み取るかが問われます。

一般型(左右対称) 安定した工程。とくに問題なし。
二山型 性質の違うデータが混ざっている疑い。層別して分けて見る。
離れ小島型 一部に異質なデータが混入している疑い。
歯抜け型 測定やまとめ方(区間の取り方)に問題がある疑い。
絶壁型 選別して規格外れを取り除いた後のデータの疑い。

ヒストグラムの作り方:区間の数は √n が目安

形を読む前に、自分で作れる必要があります。作り方は手順が決まっていて、3級ではこの手順の数字(区間の数・幅・境界値)が問われます。

区間の数 k はデータ数 n の平方根を目安にします。n = 100 なら 10 前後です。区間の幅 h は、範囲 R を k で割った値を、測定単位(データの最小の刻み)の整数倍に丸めます。最初の区間の下側境界値は、最小値から測定単位の半分を引いた値にします。境界値をデータと同じ刻みにすると、境界上に落ちるデータがどちらの区間か決められなくなるためです。

ヒストグラムに規格の上限・下限の線を書き込むと、工程の分布が規格に対してどこにあるかが見えます。平均が規格の中心からずれていないか、分布の裾が規格を越えていないか、を読みます。数値で判定したいときは工程能力指数に進みます。

例題:区間の幅と最初の境界値を決める

部品の長さを 100 個測りました。最大値は 25.8 mm、最小値は 23.4 mm、測定単位は 0.1 mm です。

  1. ① 区間の数の目安 √100 = 10
  2. ② 範囲を出す R = 25.8 − 23.4 = 2.4 (mm)
  3. ③ 区間の幅を出す h = 2.4 ÷ 10 = 0.24 → 測定単位 0.1 の整数倍に丸めて 0.2 (mm) 0.24 に最も近い 0.1 の整数倍は 0.2 です。幅 0.2 で区切ると区間は 12 個になりますが、10 前後なので問題ありません。
  4. ④ 最初の区間の下側境界値 23.4 − 0.1 ÷ 2 = 23.35 (mm)
  5. ⑤ 区間を作る 23.35〜23.55、23.55〜23.75、23.75〜23.95、… と 0.2 ずつ足していく

答え:区間の幅 0.2 mm、最初の区間は 23.35〜23.55 mm。このあと各区間の度数を数えて度数表を作り、柱を立てる

よくある間違い:区間の幅をデータの刻み(0.1)と同じにしたり、境界値を 23.4 のようにデータと同じ刻みで置いたりする誤りが多いです。境界は必ず測定単位の半分だけずらします。

チェックシートは記録用と点検用の2種類

チェックシートは、データを取る段階で使う道具です。印をつけるだけで集計できる形にしておくことで、取り忘れと転記ミスを減らします。用途で2つに分かれます。

記録用(調査用)は、不適合がどの項目に・どこに・いつ・何件出たかを記録するためのものです。点検用(確認用)は、やるべきことをあらかじめ列挙しておき、実施したかを確認するためのものです。始業点検表や出荷前の確認表が点検用です。

不適合項目別 キズ・寸法外れ・汚れなど、項目ごとに正の字で数える。パレート図の元データになる。
不適合位置別 製品の図の上に、不適合が出た位置に印をつける。発生場所の偏りが見える。
度数分布 測定値を区間ごとに印で記録する。そのままヒストグラムになる。
不適合要因別 機械別・作業者別・時間帯別のように要因で分けて数える。層別がその場でできる。
点検用 点検項目を列挙し、実施したかを確認する。抜け防止が目的。

散布図は点の並びの向きと、相関係数で読む

対になった2つのデータ(炉の温度と硬さ、速度と仕上がりなど)を縦軸と横軸に取って点を打った図が散布図です。読むのは点の並び方の向きです。

並び方を数値にしたものが相関係数 r です。r は −1 から +1 の間の値を取り、+1 に近いほど強い正の相関、−1 に近いほど強い負の相関、0 に近ければ相関がないと読みます。計算は、x と y それぞれの平方和 Sxx・Syy と、2つの積和 Sxy から r = Sxy ÷ √( Sxx × Syy ) で求めます。3級では定義と範囲、計算の手順は2級の「相関分析と単回帰分析の計算」で扱います。

散布図は全体で見ると関係がなさそうでも、機械別や材料ロット別に印を分けて描くと、層ごとにはっきりした相関が出ることがあります。逆に、層ごとに平均が違うだけで、全体では相関があるように見えることもあります。散布図と層別はセットで使います。

正の相関 x が増えると y も増える。点が右上がりに並ぶ。
負の相関 x が増えると y が減る。点が右下がりに並ぶ。
無相関 点が全体に散らばり、向きがない。
曲線的な関係 山型・谷型のように直線でない関係。相関係数は小さく出るが、関係がないわけではない。
外れ点 他の点から離れた1点。測定ミスか、異なる条件のデータか、原因を調べる。

例題:5 組のデータから相関係数を求める

x が 1、2、3、4、5 のとき、y はそれぞれ 2、4、5、4、5 でした。

  1. ① 平均を出す x̄ = 15 ÷ 5 = 3  ȳ = 20 ÷ 5 = 4
  2. ② x の平方和 Sxx = (−2)² + (−1)² + 0² + 1² + 2² = 10
  3. ③ y の平方和 Syy = (−2)² + 0² + 1² + 0² + 1² = 6
  4. ④ 積和 Sxy = (−2)(−2) + (−1)(0) + (0)(1) + (1)(0) + (2)(1) = 4 + 0 + 0 + 0 + 2 = 6
  5. ⑤ 相関係数 r = 6 ÷ √( 10 × 6 ) = 6 ÷ 7.746 ≒ 0.77

答え:r ≒ 0.77。正の相関がある

よくある間違い:積和 Sxy は x の偏差と y の偏差を掛けてから足します。符号が混ざるので、2乗の平方和と違って負になることもあります。

グラフは「何を比べたいか」で種類が決まる

グラフは数値を目で比べられる形にする道具で、種類ごとに向いている比較が違います。試験では「この目的にはどのグラフか」の形で問われます。

折れ線グラフ 時間による変化を見る。月ごとの不良率の推移など。
棒グラフ 項目ごとの大小を比べる。機械別の生産量など。
円グラフ 全体に占める割合を見る。不適合の内訳など。
帯グラフ 割合を、年度や部門など複数の条件で比べる。帯を並べて構成比の変化を見る。
レーダーチャート 複数の評価項目のバランスを見る。技能評価や品質監査の結果など。
ガントチャート 作業の予定と実績を横棒の長さで示す。日程管理に使う。

特性要因図の作り方

右端に特性(結果)を書き、そこへ向かう大きな骨に要因の大分類を、そこから小骨に細かい要因を書き込みます。形が魚の骨に似ているのでフィッシュボーン図とも呼ばれます。

大分類には4M(Man 人・Machine 設備・Material 材料・Method 方法)がよく使われます。測定を加えて5M、環境を加えて5M1Eとすることもあります。

注意したいのは、特性要因図は要因の候補を洗い出す道具であって、原因を特定する道具ではない点です。書き出した要因のどれが本当に効いているかは、データで確かめる必要があります。

特性(結果)例:寸法不良人 Man機械 Machine材料 Material方法 Method大骨=4M、中骨・小骨=原因を掘り下げた要因。矢印の先が結果(特性)環境(Environment)などの大骨を足すこともある
特性要因図の骨組み。大骨は 4M で分けるのが基本

骨の名前と、作るときの決まり

特性要因図の各部分には名前があり、3級ではその名前が問われます。右端の特性に向かう太い矢印が背骨、背骨に向かう大分類の矢印が大骨、大骨に向かう要因が中骨、さらに細かい要因が小骨(孫骨)です。

作るときは、担当者ひとりで書かずに関係者全員で集まります。ブレーンストーミングで要因を出し、「なぜそうなるか」を繰り返して中骨・小骨へ掘り下げます。書き終えたら全員で見直し、抜けや重複がないかを確かめます。ひとりの思い込みを図にしても、原因の候補に抜けが出るためです。

中骨や小骨に書くのは「作業者」のような大まかな言葉ではなく、「新人が手順書を見ずに作業している」のように具体的な状態です。ここまで掘ると、データで確かめられる要因になります。

背骨 右端の特性へ向かう中央の太い矢印。
大骨 背骨へ向かう矢印。4M のような要因の大分類を書く。
中骨 大骨へ向かう矢印。大分類の中の要因。
小骨(孫骨) 中骨へ向かう矢印。いちばん細かい要因。具体的な状態まで掘る。

よくある質問

QC七つ道具と新QC七つ道具はどう違いますか?

QC七つ道具は主に数値データを、新QC七つ道具は主に言語データを扱います。ただし新QC七つ道具のうちマトリックス・データ解析法だけは数値データを扱うので、ここが例外としてよく問われます。

パレート図で「その他」はどこに置きますか?

件数の大小にかかわらず、一番右(最後)に置きます。多い順に並べるという原則の唯一の例外です。

特性要因図で原因が特定できますか?

できません。特性要因図は要因の候補を漏れなく洗い出して整理するための道具です。どの要因が実際に効いているかは、層別や散布図などでデータを取って確かめます。

読んだ内容が身についた?(確認問題3問)

選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。

  1. Q1

    不良項目を件数の多い順に棒グラフで並べ、累積比率を折れ線で重ねて「重点的に取り組む項目」を見つけるのに適した図はどれか。

    答えと解説を見る

    正解:2 パレート図

    パレート図は項目を大きい順に並べ累積曲線を重ねます。上位少数の項目が全体の大部分を占めるという重点指向の判断に使います。 ヒストグラムは1つの特性の分布、特性要因図は要因の整理、散布図は2変数の関係を見る道具で、いずれも優先順位はつけられません。なお「その他」の項目は件数によらず一番右に置くのが決まりです。

    問題番号 3-shuhou-001(誤りに気づいたらお知らせください)

  2. Q2

    特性(結果)に対して要因を魚の骨のように整理し、原因を体系的に洗い出すのに使う図はどれか。

    答えと解説を見る

    正解:1 特性要因図

    特性要因図(フィッシュボーン図)は、結果に影響する要因を大骨・小骨に分けて整理し、原因の候補を漏れなく洗い出す道具です。 注意したいのは、特性要因図は要因の候補を洗い出す道具であって、原因を特定する道具ではない点です。どれが本当に効いているかは、層別や散布図でデータを取って確かめます。

    問題番号 3-shuhou-002(誤りに気づいたらお知らせください)

  3. Q3

    ヒストグラムから読み取れる情報として、最も適切でないものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:4 対応する2つの特性どうしの相関の強さ

    相関の強さは散布図で読み取ります。ヒストグラムは1つの特性の分布(中心・ばらつき・形)を把握する道具です。 ヒストグラムは1つの特性しか扱わないため、2つの特性の関係は表せません。2変数の関係を見たいときは散布図を使います。

    問題番号 3-shuhou-003(誤りに気づいたらお知らせください)

読んだあとにやること

読んで分かった気になっても、手を動かすと止まります。この分野の練習問題で確かめてください。

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 過去問題(日本規格協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。